アップルを介さずにモバイルゲームを配布しようとするArtieが10.6億円調達

モバイルゲームの提供形式を再考しようとしているArtieが米国時間2月17日、1000万ドル(約10億6000万円)の資金を調達したことを発表した。

今回の投資にはZyngaの創業者Mark Pincus(マーク・ピンクス)氏、Thirty Five VenturesのKevin Durant(ケビン・デュラント)氏とRich Kleiman(リッチクレイマン)氏、Raised In SpaceのScooter Braun(スクーター・ブラウン)氏、Shutterstockの創業者Jon Oringer(ジョン・オリンジャー)氏、Tyler Winklevoss(タイラー・ウィンクルボス)氏とCameron Winklevoss(キャメロン・ウィンクルボス)氏、Susquehanna International GroupのHarris Blitzer(ハリス・ブリッツァー)氏のSports & EntertainmentとThe Sixers Lab、GoogleのManuel Bronstein(マニュエル・ブロンスタイン)氏、そしてYouTubeの共同創業者Chad Hurley(チャド・ハーリー)氏といった大物が参加している。

今回の投資は、Artieの拡張現実でアバターを作るという元のビジョンからの転換を表している。CEOのRyan Horrigan(ライアン・ホリガン)氏によると、共同創業者でCTOのArmando Kirwin(アルマンド・カーウィン)が行き着いたのは、一緒に「もっと大きな問題を解決する」ためのゲームの配布技術を作ることだという。

問題の1つは、ゲーム開発者が「AppleのApp Storeの規則や制限を超える方法を探している(Fortniteを開発したEpic Gamesは今この問題で戦っている)というものだ。そこでArtieのプラットフォームでは、モバイルゲームをアプリをインストールせずに、ブラウザーやネット上の共有リンクからプレイすることができる

画像クレジット:Artie

アプリのないモバイルゲームというアイデアは、Artie独自のものではないが、ホリガン氏によると、他社がJavaScriptとHTML5だけなのに対して、ArtieはUnityをサポートしているため、カジュアルゲームハイパーカジュアルゲームというよりも)を開発できるだけでなく、最終的にはゲームをさらに深化させることができるという。

「クラウドゲームと同じように、Unityのゲームを私たちのクラウドで動かしていますが、グラフィックのレンダリングをクラウドで行い描画をプレイヤーにプッシュしていません。高度に最適化された組み込みのウェブブラウザーを介してリアルタイムでレンダリングされたアセットとアニメーションをストリーミングしています」とホリガン氏はいう。

これはつまり、App Store外で軋轢を生まない配布を行うのと同時に、クラウドゲームが直面している膨大なインフラコストやラグタイム(遅延)という問題を避けるが目的だ。

Artieは独自のゲームを開発してリリースしている。2020年後半には「Alice in Wonderland(不思議の国のアリス)」のゲーム、ビアポンゲームなどを予定しており、2022年にはMMOゲームを計画している。さらに同社は、他の開発者が同社のプラットフォームを通じて配布できるようにするSDKもリリースする予定だ。

ホリガン氏によると、Artieの最初のゲームは無料で、ゲーム内課金が収益源だという。ゲーム上のプレイ状況はCookieを利用して記憶するが、ログインを作成することもできる。

同社は、ゲームに大物ミュージシャンや、スーパーヒーローのIPオーナーを起用しており、今後ゲーム開発のノーコード、ローコード化とArtieの配布プラットフォームを組み合わせることで、これらが大きなトレンドになると期待している。

「次世代のインフルエンサーたちと協力して、ローコードやノーコードのゲーム作りを普及させ、YouTube上で直接、彼らのオーディエンスに公開したい。ゲームが、ゲーム会社からではなく、好きなヒップホップスターから送られてきているという感覚は喜ばれるだろう。それを実現するプラットフォームがArtieなのです」とホリガン氏はいう。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Artie資金調達

画像クレジット:Artie

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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