アップル2021年春の新製品イベントは投資家マインドに響かず、株価は微減

Apple(アップル)の米国時間4月20日の新製品発表イベントには同社の今後の成長と業績についての多くの情報が含まれていた。こうした情報は株式市場にとってAppleが期待に応えるかのか下回るのかを決める重要なヒントになるはずだった。しかし実際にはAppleの株価はほとんど動かなかった。

つまり新たな常識はこういうことだ。「Appleが新製品、新サービス、新ソフト、新周辺機器などをいくら発表しようと株価に影響しない」。Appleといえども四半期決算の発表は株価に影響することがある。しかし新製品の予告では対した影響は出ない。

少なくともTechCrunchが注目している間には多きな動きはありそうにない(こちらに詳しい記事)。Appleのユーザー(とマスコミ)はApple製品に熱狂的だ。見たものについて非常に声高に語る。一方、投資家はその間、いわば黙々とランチを食べていた。

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今回のAppleイベントの結果はといえば、場内の引け値は1.28%下落、その後さらに時間外取引で0.36%下落した。株価はイベントが始まった時には133.40ドルだったが現在は133.11ドルだ。Appleはこのイベントで逆風が強まるのを防ぐことはできなかった。

Yahoo Financeによれば、市場の総合的な状態を示すNASDAQ指数は0.92%の下げだった。

言い方を変えると、Appleからの多数の発表クレジットカードをアップデートすること、ポッドキャストアプリをリニューアルして有料会員をサポートすること、iPhoneのカラバリに紫色を追加すること、AirTagsを本当に準備していること、ついに新しいApple TVが登場すること、新しいiMacがとてもホットであるらしいこと、新しいiPad(iPad Proを含む)が登場すること、等々のニュースは投資家からは概ね無視された。

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使い古されているのでここには「君らは退屈しているのか?」という(映画の)「Gladiator(グラディエーター)」をネタにしたGIFは貼らないでおくが、こうした結果になったのには理由がある。投資家は決算の数字にしか注意を払わない。将来の決算の収入の源となるはずの製品には目を向けず、影響が出たら出たときに改めて検討すればいいと考えるわけだ。Yahoo Financeのグラフを貼っておく。

 

画像クレジット:YCharts

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カテゴリー:イベント情報
タグ:AppleAPPLE SPRING HARDWARE EVENT 2021株価

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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