アマゾンがインドの何千もの小規模商店と提携

インドの都市、町、村の至るところに数多くの小規模な商店がある。小売大手がインドで数十億ドル規模の投資をしているにもかかわらず、商店は生き残り、繁盛してきた。そしていま、Amazon(アマゾン)がそうした商店を抱え込もうとしている。

同社は1月18日、商品を保管・配達するためにインド中にあるキラナストアとして知られる何千もの小規模商店と提携したと発表した。

「すべての関係者にとってウィンウィンのシナリオだ」とAmazonは話した。「顧客にとっていい話であり、店主は副収入が得られる」とAmazonの創業者でCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏はツイートした。

数年前に「I have Space」という名称のプログラムを試験したAmazonは、キラナストア2万店超と提携していたと同社は述べた。

「そして本日、このプログラムで何千もの商店が我々と提携している。I have Spaceパートナーのネットワークはティア1、2、3の都市、これ以外の都市も網羅している」とTechCrunchに対し語った。

ベゾス氏にとって4回目となるインド訪問を締めくくる際にコメントを出した。それは、世界最大のeコマースがインドで積極的に市場を開拓しているにもかかわらず、インドの買い物客にとって商店は重要な存在であり、また強力に支えられた買い物スタートアップのエコシステムを有していることを強調するものだった。

商店はあらゆる商品を扱っていて、賃金は少なく、家賃もほとんどない。商店はあらゆるところにあり(業界の推計では、インド中に1000万店超あるとされている)、そうした店よりも迅速な配達を提供できている大手小売はない。加えて商店は繁盛している。インドではeコマースはまだ初期段階にあり、全小売売上高のわずか3%を占めるにすぎない。

Walmart(ウォルマート)傘下のFlipkart(フリップカート)も同様の結論にたどり着いた。同社は先月、4年前に創業されたバンガロール拠点のスタートアップであるShadowFaxに3000万ドル(約33億円)を投資した。ShadowFaxは商品保管場所として、300都市で商店と提携している。また配達面ではフリーランサーの大きなネットワークを利用している。

Amazonはまた、インドでAmazon Easyという名称のプログラムを継続する。このプログラムでは、インターネットユーザーが初めてオンラインで買い物するのを案内できるよう商店主をトレーニングする。

eコマース業界に新たな競争相手が現れようとしているが、商店との提携はAmazon IndiaとFlipkartにとって助けとなるかもしれない。インドで最も富裕なMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏は先月、ムンバイ郊外でのJioMartソフト立ち上げに向けたサインアップを開始した。

JioMartは、格安のモバイルデータでインドの通信マーケットを刷新したアンバニ氏のReliance Jioと、インド国内6500の市町村に1万店を展開するインド最大の小売チェーンReliance Retailの合弁企業だ。

JioMartは、商店主が在庫を管理したり、Relianceの卸業者のネットワークに新しいストックを注文したりするのをサポートするための手に持つタイプの端末の使い方を、国内中にいる多くの商店主に教えている(この点に関して、Amazonはインドで2番目に大きい小売Future Retailとの提携をゆっくり深めている)。

「JioとReliance Retailは、グジャラート州の120万もの小規模小売や商店主に権限を与えて価値を高めるためのユニークな新商業プラットフォームを立ち上げる」とアンバニ氏は昨年述べていた。

Amazonは6年半前にインドマーケットに参入したが、1月18日のAmazonの発表は、これまでで最も注目すべき週の1つになるかもしれない先週の出来事にフタをするものだ。今週初め、インドの競争委員会がAmazon IndiaとFlipkartは反競争行為を展開している疑いがあるとして調査を行うことを発表した。

その後ベゾス氏がインドを訪問した。ニューデリーで開催されたイベントで、ベゾス氏はAmazonがインドのオペレーションに10億ドル(約1100億円)を新たに投資していることを発表し、何百万もの小規模小売のデジタル化をサポートすると述べた。これは同社がこれまでインドに注入してきた55億ドルとは別のものだ。

イベントと相前後して、数十の商店主たちがAmazonとFlipkartの反競争行為疑い関して抗議活動を行なった。さらにはインドのPiyush Goyal(ピユシュ・ゴーヤル)商業大臣がAmazonの新たな投資について「インドにとってたいしたものではない」と発言。翌日、ゴーヤル大臣は発言を撤回した。

1月17日、Amazonは2025年までにインドで100万の雇用を創出すると語り、ベゾス氏の署名が入った文書をAmazon Indiaのウェブサイトとアプリに掲載した。ベゾス氏はNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相との面会を模索したが実現しなかった。

画像クレジット:Frédéric Soltan/ Corbis / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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