アマゾンがインド小売業者のデジタル化を支援する同国スタートアップを買収

Amazon(アマゾン)はオフラインの店舗がオンライン店舗を展開するのをサポートするインドのスタートアップを買収した。オフライン店舗が小売販売の95%超を占め、そして人口が世界第2位のインドに食い込もうというAmazonの最新の試みだ。

Amazonは現地時間3月30日、創業4年のPerpule(パーピュール)を買収したと発表した。規制当局へ提出した書類には、Amazon Technologiesがインドのスタートアップを買収するのに現金1470万ドル(約16億円)を支払ったとある。そしてPerpuleの従業員への補償として追加で500万ドル(約5億5300万円)拠出するはずだ。

これまでに636万ドル(約7億円)を調達したPerpuleはオフラインの小売業者がデジタル決済を受け付け、そPaytmやPhonePe、Google Payなどがインドで展開しているさまざまなミニアプリストアで出店できるようにするためにモバイル決済デバイス(POSマシーン)を提供している。

「Perpuleは、インドのオフラインの小売店舗が在庫や精算プロセス、全体的な顧客エクスペリエンスをうまく管理できるようにする、イノベーティブなクラウドベースPOSを構築しました」とAmazonの広報担当は声明で述べた。

「インドの顧客のために買い物エクスペリエンスの水準を引き上げながら、あらゆる規模の事業者への成長機会の提供に注力すべく、Perpuleのチームに加わってもらうことを喜んでいます」。

2016年に創業されたPerpuleの最初のプロダクトは、Shoppers Stop、Spar Hypermarket、Big Bazaarといったスーパーチェーンでの行列を顧客が回避できるようにすることにフォーカスしていた。しかし、PerpuleのCEOであるAbhinav Pathak(アビナブ・パタック)氏が最近のインタビューで語ったところによると、同社はそのプロダクトを展開しようとしたが、広がらなかったという。

Prime Venture Partners、Kalaari Capital、Raghunandan G(ラグナンダン・G)氏(ネオバンクZolveの創業者)などから出資を受けているバンガロール拠点のPerpuleは近年、事業者がグループ注文に対応できるようにするStoreSEのようなプロダクトを立ち上げるなど、事業を拡大してきた。

そして2020年は事業地域も拡大し、インドネシアやマレーシア、タイ、シンガポール、ベトナムなど東南アジアマーケットでサービスの提供を開始している。

Amazonは近年、デリバリーネットワークや倉庫を拡大するために、実在(オフライン)店舗のインドでの圧倒的な存在感を出し、販売促進のために実在店舗の在庫に頼るなど、積極的に実在店舗を取り込もうとしている

Amazonの実在店舗への接近は、Flipkart、そして2020年(FacebookやGoogleなどから)200億ドル(約2兆2100億円)超を調達したReliance Jio Platformsがこのマーケットを支配しようと競っている中でのものだ。Perpuleの買収は、Googleがが似たようなプロダクトを展開しているDotPeへ出資してから1週間も経っていない。

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あらゆるものを売っている零細の小売店は、家族経営で賃金は安く、家賃がほとんどない。どこにでもあるため(業界推定ではインドには3000万の零細小売店がある)、より迅速な配達を提供できている小売大手はない。その上、そうした零細小売店の経営状態は往々にして大半のデジタル店舗よりも良好だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazonインド買収Perpule小売

画像クレジット:Noah Seelam / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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