アマゾンの物流労働者の組合結成に向けてチームスターズが積極的な支援を計画

米国で最も強力な労働組合の1つであるInternational Brotherhood of Teamsters(チームスターズ)は米国時間6月22日、Amazon(アマゾン)の倉庫労働者と運転手の組合結成を全国的に推進する計画を認めた。そしてそれは、穏やかにはすまないだろう。

このニュースはMotherboard(マザーボード)が最初に報じたもので、同メディアはこの取り組みを発表する動画と決議文を入手したという。チームスターズの説明によると、アマゾンの成長する物流事業で組合を結成する計画は以前から進められており、ベッセマーで組合結成が(草の根活動がアマゾン自身の激しい反対に遭い)失敗に終わったことは、なぜこのような試みが必要であるかを物語っているとしている。

チームスターズのアマゾン担当ナショナル・ディレクターを務めるRandy Korgan(ランディ・コーガン)氏は、ニュースサイトのSalon(サロン)に掲載された最近の論説の中で、この取り組みを示唆するような説明をしている。

全国のチームスターズ支部が、組合員の参加を促し、大規模なボランティア組織委員会を立ち上げ、地域社会と労働者の強力な連携を構築し、変革的な社会正義の組織化を自分たちの活動に取り入れることで、すでにこの課題に立ち向かっていることを、私は知っています。

注目を集めたアマゾンのアラバマ州ベッセマー倉庫で行われた全国労働関係委員会(NLRB)の選挙でわかったように、アマゾンは労働者が組合を結成するのを阻止するためには、法律に違反し、費用を惜しみません。

アマゾンで真の労働者の権利を構築するためには、アマゾンの労働者による現場での闘争心と、倉庫業や配送業のチームスターズとの連帯が必要です。

チームスターズの計画は、今週開催される第30回半期国際会議での可決を前提としており、特別にアマゾン部門を設け、全国のアマゾン従業員の組合活動に資金を提供して支援するというものだ。決議文には次のように書かれている(全文は記事文末を参照)。

IBT代表者会議は、アマゾンが我々の組合員にとって存在する脅威であることを認識し、組合員の関与、労働者と地域社会の関与、独占禁止法の施行と政策改革、グローバルな連帯といった中核的なプラットフォームで団結することに、組合のすべてのレベルで取り組む。

アマゾンは事あるごとに、安全で高給な労働環境にするための改善に取り組んでいることを声高に繰り返しているものの、従業員がひどい状況に置かれていたり、冷淡な人事管理を受けていたり、賃金が停滞しているといった報告が後を絶たない。アマゾンは最低賃金を時給15ドル(約1670円)に設定しているが、これは多くの倉庫作業員や運転手が他の仕事で得ている賃金よりもはるかに低いと指摘されており、今や他の事業主がアマゾンに追随して賃金を下げる動きも出ている。

アマゾンが組合潰しの戦術と汚い手口で伝統的な組合投票プロセスを潰したと非難されたベッセマーにおける紛争は、チームスターズが異なるアプローチを採ることを促した。

チームスターズはアマゾンの労働者を支持します。

アマゾンの労働者は生活向上のために団結しており、チームスターズは彼らを支援しています。なぜなら、彼らはそれに値し、私たちは組合員が懸命に取り組んできた基準を維持しなければならないからです。

ランディ・コーガン
チームスターズ アマゾン担当ナショナル・ディレクター

Motherboardによると、チームスターズはアマゾンが組合結成や交渉に応じたほうがよいと考えるようになることを期待して「業務停止、請願、その他の集団行動を含む一連の圧力キャンペーン」を計画しているという。この件について筆者は同社にコメントを求めており、返事があれば記事を更新する。

これはチームスターズが今後数年間に行う最優先の取り組みの1つだが、具体的なスケジュールや予算は明示されていない。その理由は間違いなく、現場の状況に大きく左右されるからだろう。しかし、アマゾンの何十万人もの従業員は、未開拓の巨大な労働者グループであり、その労働者が組合に加入すれば、それだけ巨額の資金がチームスターズにもたらされる可能性もある。

Teamsters Convention Resolu… by TechCrunch

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Amazon労働組合

画像クレジット:Jay Reeves / AP

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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