アマゾンも出資するRivianが電動ピックアップトラック「R1T」の量産第1号車を出荷

イリノイ州ノーマルにあるRivian(リヴィアン)の工場では、米国時間9月14日朝、「リヴィアンブルー」の電動ピックアップトラック「Rivian R1T」の量産第1号車が製造ラインからラインオフした。これは、同社とその創業者兼CEOであるRJ Scaringe(R・J・スカリンジ)氏にとっては、10年以上の歳月をかけて達成したマイルストーンだ。

2009年にMainstream Motorsとしてスタートし、2年後に「Rivian」に社名を改めた同社は、ここ数年で従業員、支援者、パートナーの面で爆発的な成長を遂げてきた。スカリンジ氏は14日にこのニュースと、リヴィアンブルーに塗られた最初の量産車の写真をツイートした。

「何カ月にもわたって試作車を作ってきましたが、今朝、最初のお客様の車がノーマルの製造ラインから走り出しました!」と彼は書いている。「この瞬間を迎えることができたのは、私たちのチームの努力の賜物です。お客様の手に渡るのが待ち遠しいです!」とも。

この1号車を誰が手にするのかは明らかにされていない。

Rivianは、2018年末のLAオートショーで電気トラック「R1T」と電気SUV「R1S」のプロトタイプを公開するまでの数年間、比較的無名のまま、いわゆるステルスモードで活動していた。

それ以来、Rivianは100億ドルを超える(2019年以降は105億ドル[約1兆1500億円])資金を調達し、イリノイ州ノーマルの工場を拡張し、数千人の従業員を雇用し、Amazon(アマゾン)を商用顧客として獲得し、最近ではIPOを内密に申請した。現在Rivianは、イリノイ州の工場に加えて、カリフォルニア州のパロアルトとアーバイン、ミシガン州のプリマスに施設を持ち、英国にもオフィスを構えている。

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2018年に2台の電気自動車を公開したとき、Rivianの従業員は約600人だった。現在では8000人になっている。

今回のスカリンジ氏の発表は、パンデミックと世界的なチップ不足による少なくとも2回の遅延を経て、同社が顧客向けにR1Tの生産を正式に開始したことを意味する。2021年夏の初め、同氏は顧客への手紙の中で、R1Tの納品は9月に開始され、R1Sはそれに「まもなく」続くと書いていた。

Rivianは、一般消費者向けのR1TとR1Sの準備と最終的な生産、およびAmazon向けの商用配送バンの生産という、相反する優先事項を両立させている。イリノイ州の工場には、車両を生産する2つの独立した製造ラインがある。1つはR1の生産ライン、もう1つは商用バンの製造ラインだ。

Amazonはこれらのバンを10万台発注しており、その納入は2021年に開始された。2021年初め、Amazonはロサンゼルスやサンフランシスコなどのいくつかの都市で、EV配送バンのテストを開始した。

9月初め、Rivianは、ピックアップトラック「R1T」の初期生産仕様車の航続距離がEPA(米国環境保護庁)基準で314マイル(505.3km)、電動SUV「R1T」の航続距離は316マイル(508.5km)を達成したと発表した。

EPAのウェブサイトに掲載された公式の航続距離と燃費の値は、Rivianが300マイル(482.8km)と宣伝していた以前の推定値と見合うものだ。

この瞬間は、Rivianが市場で最初の電気トラックとしてのメリットを得られるという意味でも重要だ。2022年春に発売予定のFord(フォード)「F-150 Lightning(F-150 ライトニング)」は、標準仕様で230マイル(370.1km)、拡張仕様で最大300マイル(482.8km)の航続距離を目標としている。EPAは、Ford Lightningの公式航続距離をまだ発表していない。

Rivianの「ローンチエディション」R1TトラックおよびR1S SUVは、「ラージパック」とブランディングされた135kWhのバッテリーパックを搭載している。ローンチエディション車両は、2021年9月中に納入を開始する予定だ。

【補足説明】Rivianは2019年以降105億ドルを調達したと記述したが、それは調達総額ではない。Rivianは総額を共有していないが、情報筋によると110億ドル(約1兆2030億円)前後だという。

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画像クレジット:Rivian

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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