アマゾン倉庫従業員に組合参加の是非を問う再投票は、2月に郵便投票で実施

全米労働関係委員会(National Labor Relations Board)は米国時間1月11日、Amazon(アマゾン)のアラバマ州ベッセマー倉庫の従業員に労働組合参加の是非を問う2回目の投票について、詳細を発表した。今回の再投票は、USPSの郵便投票によって行われる計画で、2月4日に郵送され、3月28日に集計される予定だ。

2021年、NLRBの第10地域の責任者は、組合結成に反対するAmazonが圧倒的な勝利を収めたことを受け、2回目の投票を行うと発表した。NLRBが発行した通知の中で、同組織は次のように記している。

2021年2月8日に始まった選挙は、雇用主が職場の正面玄関のすぐ外に投票用郵便箱を設置させたり、義務的な会議中に従業員の支持を不適切に調査するなど、選挙手続きに不正な行為が見られたことから、雇用主が従業員の自由で合理的な選択の行使を妨害したと全国労働関係委員会が判断したため、無効となりました。それゆえに、この「第2回選挙の通知」の条件に従って、新たな選挙が行われます。すべての投票資格者は、改正された全国労働関係法(National Labor Relations Act)が、いかなる関係者による干渉からも自由に、自分の思うとおりに投票する権利を彼らに与え、この権利の行使を保護するものであることを理解するべきです。

2回目の投票を行うという判決は、Amazonが敷地内に投票用郵便箱を設置したり、現場周辺に「vote no(反対に投票しよう)」という看板を設置したりしたことが投票を妨害したという小売・卸売・百貨店労働組合(RWDSU)からの苦情を受けて出されたものだ。Amazonはかねてより、組合結成の失敗は同社のフルフィルメントセンターで働く従業員の意思を反映したものだと主張している。

同社の広報担当者は当時「当社の従業員は常に組合に加入するかどうかの選択権を持っており、2022年初めには圧倒的多数がRWDSUに加入しないことを選択しました。今回、NLRBがこれらの票を数えるべきではないと判断したことは残念です」と、TechCrunchに述べていた。

RWDSUは最初の投票の際に、新型コロナウイルス感染の懸念や投票者に対する強制力の可能性などから、直接投票を行うことに疑問を呈していた。今回の投票は無記名投票で行われる。

RWDSUは、1月11日朝に報じられたニュースを受けて、TechCrunchに以下の声明を提供した。

最初の組合選挙ではAmazonの不正行為が結果を大きく汚したため、NLRBはその結果を覆し、アラバマ州ベッセマー倉庫の労働者のために2回目の選挙を指示しました。私たちは、今回の決定が、新たな選挙でAmazonが不愉快な行為を続けることを十分に防止できないのではないかと深く懸念しています。私たちはNLRBに、今回の選挙手続きを労働者にとってより公平なものにすることができるいくつかの改善策を提案しましたが、本日発表された選挙通知では取り上げられていませんでした。労働者の声は、公正かつ自由であるべき選挙をコントロールしようとするAmazonの無制限な力に邪魔されることなく、公正に聞かれるべきであり、私たちは引き続きAmazonの行動に対する責任を追及していきます。

Amazonはこのニュースに対しても「当社の従業員は常に組合に加入するかどうかの選択肢を持っており、2021年は圧倒的多数がRWDSUに加入しないことを選択しました。我々のBHM1(アラバマ州ベッセマー倉庫)で働くチームが再び声を上げてくれることを楽しみにしています」と、TechCrunchに語った。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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