アマゾン傘下のRingが「バーチャルセキュリティガード」や新アラームシステム、よりスマートなモーションアラート機能を発表

2021年のRing(リング)は、Amazon(アマゾン)が毎年開催しているデバイスとサービスイベントの一部に過ぎないが、ハードウェアの刷新とEero Wi-Fi 6ルーター機能の統合を含む新しいプロアラームなど、多くのアップデートを行っている。また「Virtual Security Guard(バーチャル・セキュリティ・ガード)」と呼ばれる新サービスも用意されており、これは基本的に、ユーザーが監視できないときに代わりRingのフィードを監視するもので、よりスマートな状況認識能力により、既存のドアベルやカメラの警戒能力を向上している。

Ring Alarm Pro

「Ring Alarm Pro(リング・アラーム・プロ)」は、Eeroを内蔵したベースステーションを含む、ホームセキュリティシステムのアップグレード版だ。このベースステーションは、他の最新のEeroハードウェアとリンクするためのメッシュ機能を備えたWi-Fi 6ルーターとしても機能する(これは、Amazonが買収したコンシューマー向けブランドとのすばらしいシナジー効果となっている)。Ring Alarm Proには、月に3GBのモバイルデータが含まれており、1GBあたり3ドル(約330円)で追加データを利用できるため、24時間365日のバックアップインターネットが可能だ。RingのPower Packアクセサリーをベースステーションに取り付ければ、停電時にもインターネットを利用することができる。

また、Alarm Proベースステーションには、最大64GBのカードに対応したmicroSDカードスロットがあり、接続したRingカメラやドアベルのローカルビデオストレージとして利用できる。

これまでのRingのアラーム製品と同様に、モーションセンサー、ドア・窓センサー、火災・湿気センサーなどと連携する。また、同社のサブスクリプション製品にはプロレベル(月額約2200円)が導入されており、セルラーバックアップサービスに加えて、プロによるモニタリングや、Eeroを介した家庭用インターネットの広告ブロック(これもまたシナジー!)、コンテンツフィルタリング、脅威防御サービスなどを利用することができる。

Virtual Security Guard

Eeroの新たなプロレベルのサブスクリプション(従来の月額10ドルのオプションと一緒に提供される)とは別の「Virtual Security Guard(バーチャル・セキュリティ・ガード)」と呼ばれる新たなサブスクリプション・サービスは、現場にいるセキュリティ・ガードの利点を模倣することを目的としている。

基本的に、モニタリング会社Rapid Response(ラピッド・レスポンス)との提携により、プロの監視員による監視を追加するものだ。Rapid Responseの担当者は、会員が指定したRingのカメラやドアベルのフィードを監視し、モーションアラートに反応して、サイレンやライトの作動、双方向通話機能の使用などの介入を行い、必要と判断した場合には、実際に救急隊員を派遣する指示を仰ぐことができる。

Ringは、Virtual Security Guardが完全に契約者の管理下にあることを強調している。例えば、カメラはデフォルトで除外されており、どのカメラをいつ監視するかはユーザーが選択する。また、エージェントは、ユーザーが指定したホームモードまたはアウェイモードで監視するようにグリーンライトが点灯しない限り、カメラを起動することはできない。エージェントは、動きが検出されたときにライブビューでリアルタイムの映像を見ることができるだけで、映像はダウンロードなどのために保存されることはない。さらに、ユーザーが設定したプライバシーゾーンは監視エージェントには表示されず、バーチャルセキュリティエージェントがフィードを監視しているときは、Ringアプリでライブ表示され、エージェントが見た過去のライブビューも明確に表示されるようになっている。

具体的な価格については明らかにされていないが、ユーザーがすでにプロの監視プランを導入していることが条件となっているため、割高な価格設定になると思われる。また、このプログラムを利用するには、Ringの、屋外用のワイヤー接続したビデオドアベルまたはセキュリティカメラを導入している必要があり、2021年後半から招待制で提供される予定だ。

Custom Event AlertsとPackage Alerts

画像クレジット:Ring

2021年のRingは、空飛ぶドローンが実際に出荷されるなど、かなり目を引く発表を行っているが、多くのユーザーにとって最も役に立つニュースは「Package Alerts(パッケージアラート)」と「Custome Event Alerts(カスタムイベントアラート)」という新しいスマートアラートの導入だろう。

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「Package Alerts」は、その名の通り、ゾーンを指定して、そのゾーンに荷物があると通知を受け取ることができるというものだ。例えば、玄関先やポーチを監視するように設定して、Amazonが荷物を配達したときに通知を受け取ることができる。

これらの機能は、Ring Video Doorbell Pro 2とRing Video Doorbell(2020年モデル)のデバイスを持っている人であれば、Ring Protect Plan(リング・プロテクション・プラン)に加入している場合に限り、米国時間9月28日より利用可能となる。

「Custom Event Alerts」は、Spotlight Battery Camのユーザーに適用されるが、こちらもRing Protect Planに加入していることが条件となり、もう少しカスタマイズの自由度が増えることとなる。例えば、Ringが撮影した閉じた状態のガレージドアの静止画と開いた状態の静止画を使用して、この2つの状態を区別し、状態の変化が起こったときに警告するように教えることができる。Ringはこの機能を、ゲートやドアなど、ユーザーが定義した他のタイプの状態変化にも適用できると述べている。Package Alertsよりも少し遅れて配信を開始し「今後数カ月のうちに」利用可能になる予定だ。

Ring Jobsite Security

画像クレジット:Ring

最後に、Ringはコントラクターや現場管理者をターゲットにした「Jobsite Security(ジョブサイト・セキュリティ)」を発表した。これは、Ring Alarm Proをベースにした製品で、例えばゲートの開閉状態を把握するためのOutdoor Contactセンサーなどのアップグレード製品と使う業務用に調整されている。また、ターゲット層を「反映」して、セーフティーオレンジを多用している(セーフティーオレンジは、”反射性”を利用しているというダジャレ)。

Jobsite Securityは、The Home Depot(ザ・ホーム・デポ)との提携により、399.99ドル(約4万4000円)から独占販売される。これは、同社のブランドを国内だけにとどまらせず、B2Bの分野にも広げていくという布石なのかもしれない。

画像クレジット:Ring

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Akihito Mizukoshi)

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TechCrunch Japan

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