アメリカン航空が衛星ベースWi-Fiを主要機材に導入完了

機材数と旅客数で世界最大の航空会社であるAmerican Airlines(アメリカン航空)は、同社の主要機材である700機以上のナローボディ機(主に国内線を飛んでいるボーイング737、エアバス319と320)に衛星ベースのブロードバンドWi-Fiの搭載を完了した。衛星とつながったこれらの機材では、個人のデバイスにストリームできる12の無料チャネルが提供され、このサービスはこれまで対象外だった国際便でも利用できる。

快適なビジネスクラス席に座って出発前のシャンパンを飲んだりするのでなければ、旅行の目的はなんであれ、飛行機での旅は実際には楽しくもなければリラックスできるものでもない。ただ、もし機内で仕事を済ませなければならないとしたら、速くて安定したWi-Fiを利用できることは大きな意味を持つ。

今日のアメリカン航空の発表は、今回と同じシステムを全ワイドボディに導入したという昨年あった発表に続くものだ。しかし昨年の導入規模は、ナローボディ機のわずか13%にすぎなかった。

1つ記すに値すると私が考えることは、アメリカン航空は最も古いMD-83をこのサービス導入の対象としていないことだ。MD-83機材ではWi-Fiのアップグレードはこれまで実施されていない。というのも近代的なジェットに入れ替えが進んでいるからだ。

Wi-Fiを使えるようにしている技術に関していえば、アメリカン航空はGogo 2KuまたはViaSat Kaを使った衛星ベースのシステムに頼っている。初期の地上ベースのシステムとは異なり、衛星システムはカバーエリアが広く(海上も含む)、接続も安定しているという明らかなメリットがある。この新しい衛星ベースのシステムではまた、接続スピードがかなり速い。アメリカン航空のライバルの一社であるデルタ航空は保有機材のほとんどを衛星ベースのシステムにアップデート中で、その一方でユナイテッド航空の事情はやや複雑だ。

「旅の体験を高めることは、アメリカン航空の最終目標の一つであり、居間と同じレベルのエンターテイメントと接続性を顧客に提供するために懸命に取り組んできた」とマーケティング・ロイヤルティ・セールス担当上級副社長のKurt Stache氏は述べた。「2年もかからずして主要機材へのブロードバンドインターネットの導入を完了し、機内で過ごしてもらうことを大切にしていると顧客に示すために、我々は今後も業界で新たなスタンダードをつくり続けるだろう」。

アメリカン航空はまた、間もなく主要機材とローカル機材2クラスの各座席に電源コンセントを設置する。競合する他の航空会社と同じように、アメリカン航空もエンターテイメントの座席配備のほとんどをやめて、顧客のスマホやタブレット端末にコンテンツを流す個人デバイスエンターテイメントを採用している。またナローボディ機の大半でもタブレット端末所有者にこのエンターテイメントを提供しつつある。

他社と違ってアメリカン航空はチャットアプリへの無料Wi-Fiは提供していない。一般的な無料Wi-Fiもそうだ。それでも、アメリカン航空を頻繁に利用する人なら、他の航空会社が現在も活用している古いシステムから格段にアップグレードされた安定したWi-Fiを使えるようになるのは嬉しいだろう。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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