アメリカ代表水泳チーム、BMWのモーショントラッキングを活用したトレーニングを導入中

michael-phelps

BMWはオリンピックチームに協力しながら、水の中で安全に自動運転車の実験も行う方法を見出したようだ。

BMWは過去6年にわたって、アメリカのオリンピック委員会の公式モビリティパートナーとなっている。そのパートナー活動の一環として、BMWはアメリカ水泳チームのためのモーショントラッキング・システムの開発なども行なっている。泳者をあたかもプールの中で動く自動運転車のように見立てて、各種データを収集するわけだ。

今年行われるリオオリンピックに向けては、BMWは新たに「テールライト」と呼ぶソリューションを投入した。車のライトのように泳者の身体にLEDを装着し、それをマーカーとして利用するものだ。LEDを付けて泳ぐことで、より精密なデータを収集できるようになり、能力向上に役立つようになるわけだ。

LEDは泳者の手首、肩、臀部、膝、足首、そしてつま先に取り付ける。ちなみにマウントは3Dプリンターで作ったものだ。そうしておいて、水中のカメラがモーショントラッキング・システムと連動する。データがBMW製のソフトウェアに送られて、コーチ陣が選手の動きを詳細にチェックできるようになるという仕組みだ。

アプリケーションでは動きのたびに手足の関節の動き方などをチェックして見ることができるようになっている。これまでもBMWは関節部にマーカーを付ける手法を確立していたのだが、LEDは使ってこなかった。LEDを利用することで、より詳しいデータを集めることができるようになったのだそうだ。

BMW/USA Swimming

BMWでGroup Designworks部門のディレクターを務めるPeter Faltによれば、システムはオリンピック出場選手のために特別に開発されたものであるとのこと。選手が着用していることを忘れるほどの装着感であり、また泳ぎの邪魔になることは一切ないのだそうだ。「実際の競技のときと異なる感覚を与えてしまったり、結果に影響を及ぼすようなものは使えないのです」とFaltは言っている。

GIFTHREE

このシステムでは、主に2つの技術を統合して作られている。すなわち自動運転車で人や駐車場や車線の境界などを検知するコンピューター・ビジョンと、それに基づいて行うアクティブクルーズコントロールの機能だ。コンピュータービジョンと、それにより検知された情報を分析する技術は、まさに自動運転車でも必要とされる技術だ。

アメリカが2012年のオリンピックで獲得した金メダルの数は46個だった。そのうち16個が水泳競技で得たものだが、これにもBMWが投入した当時のモーショントラッキング・システムが役だっている。LEDの活用により分析性能が大幅にアップしたことで、リオおよびその後のオリンピックにおけるさらなる躍進を狙っているわけだ。

「選手のパフォーマンスの推移を見ながら、個々の選手に最適な調整を行うことができるようにと考えています」と、アメリカ水泳チームのパフォーマンスコンサルタントであるRussell Markは述べている。「現在のところはまだ試験段階で、これから精度をあげていく段階ではあります。しかしシステムの改善により、今後の世代においてより大きな成果を産み出すことができるのではないかと考えています」。

BMWとアメリカオリンピック委員会の契約のもと、BMWが提供する技術はぜんぶで4つだ。モーショントラッキングがまずその1つ目だ。あとは幅跳び、2人乗りボブスレー、およびパラリンピックのトラック種目における速度測定技術となっている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。