アリババグループが中国スーパーマーケット大手Sun Artの経営権を3800億円で取得

Alibaba Group(アリババグループ、阿里巴巴)は米国時間10月19日、36億ドル(約3800億円)を投入して中国スーパーマーケットチェーン最大手、Sun Art(サン・アート、高鑫零售)の支配権を取得すると発表した。取引完了後、同グループはSun Artの72%を所有する。

他の国々同様、新型コロナウイルスによる都市封鎖は中国のオンライン食料品購入需要の増加をもたらし、これまで食料品を店頭で購入することを好んでいた買い物客も引き寄せた。封鎖が解けた後も、多くの人たちがネット購入を続けている。アリババのSun Artへの投資は、フランス拠点のAuchan Retail InternationalからA-RT Retail Holdings株式の70.94%を取得することによって実施される。A-RT RetailはSun ARTの株式の約51%を保有している。

契約完了後、アリババはSun Artを自社の財務諸表に組み入れる。Sun ArtのCEOであるPeter Huang(ピーター・ホアン)氏は同社の取締役会会長にも就任する。

アリババが最初にSuna Artに投資したのは2017年で、約28億8000万ドル(約3040億円)を費やして株式の36.16%を取得した。Sun Artは“New Retail” 戦略の一環として、RT-Martブランドを展開している。.

今回の「New Retail」の狙いは、実店舗でのオンライン注文の受け取り、サプライチェーンの統合、買い物客がeコマースと実店舗で同じデジタル支払い方法を使えるようにするなどの方法によって、オンラインとオフラインコマースの境界をなくすことだ。

中国にあるSun Artの実店舗484カ所はすべて、食料品はアリババのスーパーマーケット、Taoxianda(淘鮮達)とTmall(天猫)に、オンデマンド食品配達アプリと運送事業はEle.me(餓了麼)とCainiao(菜鳥)にそれぞれ統合される。これは顧客にとって、配達の迅速化と商品選択の幅が広がることを意味し、アリババにとってもサプライチェーンや事業運営の改善に役立つ情報源が増える。

他のeコマース企業もオンラインとオフラインの食料品購入を統合する同様のアプローチをとっている。アリババの最大のライバルであるJD(京東商城)は、スーパーマーケットグループのYonghui Superstore(永輝超市)やWalmart(ウォルマート)と同じような提携を結んでいる。

報道資料でアリババのDaniel Zhang(ダニエル・チャン)CEO兼会長は、「新型コロナウイルスのパンデミックが消費者のライフスタイルや企業運営のデジタル化を加速する中、このSun Artに対する取り組みによって、当社の『New Retail』ビジョンを強化し、さらに多くの消費者に完全統合された体験を届けることができる」と語った。

カテゴリー:その他
タグ:AlibabaSun Art買収中国

画像クレジット:Dong Wenjie / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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