アリババ子会社Ant GroupのIPO調達額は上海、香港同時上場で数兆円規模に

ずいぶん前から予想されていたが、Alibaba(アリババ)の子会社で中国のフィンテック大企業であるAnt Group(アント・グループ)のIPOによる調達額は、上海と香港株式市場への同時上場で数百億ドル(数兆円)に達する可能性がある。

Ant Group(旧社名Ant Financial)の株価は80香港ドル(約1080円)あるいは68〜69人民元(約1060〜1080円)になることが予想される。同社は香港株式市場デビュー時に1億3400万の株式を売り出し、1株80香港ドルの場合172億5000万ドル(約1兆8000億円)の調達が見込まれる。

上海株式市場でも似たような額の調達が予想されることから、同社のIPOによる調達額は345億ドル(約3兆6000億円)ほどになりそうだ。これはAramco(アラムコ)が最近IPOで調達した294億ドル(約3兆800億円)を(Reuters記事)上回って過去最大規模となる。

AlibabaのAnt Groupの持分は33%だ。現在予想される株価で計算すると、Ant Groupの企業価値はニThe New York Timesによると3100億ドル(約32兆5000億円)、CNBCによると3130億ドル(約32兆8000億円)だ。

Ant Groupの巨大なIPOは、同社の途方もない規模を反映している。TechCrunchが7月に報じた(未訳記事)ように、2020年3月時点のAntの年間アクティブユーザー数は約13億人だった。そしてこの数字はここ数四半期でさらに増えている可能性もある。AntのAlipayは、巨大で儲かる中国マーケットにおいてTencentのWeChat Payと競合する。

Ant GroupのIPOは、米国の株式市場が弱さを露呈した中でのものとみることができる。Alibabaが2014年に株式を公開したとき(未訳記事)、同社はニューヨーク証券取引所に上場した。同社はその後、香港株式市場にもデビューした。Ant Groupのニューヨークではなく、香港と上海でのダブル上場は米国外で資本調達が可能なことを示している。

グローバルパンデミックで消費者の行動が変わり、商品の購入や決済をデジタルで行うようになったため、大方のフィンテックスタートアップは2020年に売上高を増やしている。そして一般的にIPOはプラスに作用し、Ant Groupは株式が売買され始めた時にさらに追い風を受けて企業価値を増やすことが考えられる。

Antは本来の業務に固執しておらず、他のスタートアップに投資することで忙しくしてきた。例えば同社は、2020年初めに分割払いサービスKlarna(クラーナ)の少数株式を取得した。

3100億ドル(約32兆5000億円)超というバリュエーションだと、Ant Groupは現在最も企業価値が大きい米国企業であるJPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)に匹敵することになる。また米国拠点のデジタル決済リーダーPayPal(ペイパル)のバリュエーション2360億ドル(約25兆円)、そしてSquare(スクエア)のバリュエーション770億ドル(約8兆円)を上回る。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Ant GroupAlibaba新規上場ジャック・マー

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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