インテルと米国防総省が米国内のチップ製造エコシステムを支援する契約を締結

Intel(インテル)は、米国防総省と米国内の商用チップ製造エコシステムを支援する契約を締結した。このチップメーカーは、米国内における半導体サプライチェーンを強化することを目的とした「RAMP-C(Rapid Assured Microelectronics Prototypes – Commercial)」と呼ばれるプログラムの第一段階を主導する。

このプログラムを主導することになるのは、インテルが最近起ち上げたIntel Foundry Services(インテル・ファウンドリー・サービス)部門だ。

RAMP-Cの一環として、インテルはIBM、Cadence(ケイデンス)、Synopsys(シノプシス)などの企業と提携し、国内の商用ファウンドリーエコシステムを構築する。インテルによれば、このプログラムは、国防総省のシステムで必要とされるカスタム集積回路や、商用製品を作るためのものだという。

「RAMP-Cプログラムにより、商用ファウンドリーの顧客と国防総省の両方が、インテルの最先端プロセス技術への多額の投資を活用できるようになります」と、インテル ファウンドリー・サービスのRandhir Thakur(ランディール・タクール)社長は声明で述べている。「当社の顧客や、IBM、ケイデンス、シノプシスなどのエコシステム・パートナーとともに、私たちは国内の半導体サプライチェーンを強化し、米国が研究開発と高度製造業の両面で、リーダーシップを維持できるよう支援していきます」。

インテルは最近、約200億ドル(約2兆2000億円)を投じてアリゾナ州に2つの新工場を建設する計画を発表した。その目的は、同社が米国内におけるファウンドリー顧客の主要な供給者となることだ。同社はこれらの新工場が、製品の需要拡大を支えることになると述べている。

国防総省とインテルの提携が発表されたのは、新型コロナウイルス流行とその世界的なサプライチェーンへの影響などにより、世界的な半導体不足が続いている中でのことだ。インテルは、他のハイテク企業や自動車メーカーとともに、この問題の解決策についてホワイトハウスと継続的に協議している。インテルのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)CEOは2021年7月に、Biden(バイデン)政権の高官と会い、チップ工場の増設計画について話し合い、補助金の獲得を訴えた。

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ゲルシンガー氏は、今回のRAMP-Cに関する声明の中で「2020年で学んだ最も重要な教訓の1つは、半導体の戦略的重要性と、米国にとって強力な国内半導体産業を持つことの価値です」と述べている。

「2021年初めにインテル・ファウンドリー・サービスを起ち上げたとき、米国政府を含むより多くのパートナーに当社の能力を提供する機会が得られることを、私たちは大変喜びました。RAMP-Cのようなプログラムを通じて、その可能性を実現できるのが非常に楽しみです」と、ゲルシンガー氏は続けた。

1月にCEOに就任したゲルシンガー氏は、このチップメーカーの経営を立て直し、チップの製造と販売に関する新しい戦略を追求することを目指している。数カ月前、インテルはチップ製造業者のGlobalFoundries(グローバルファウンドリーズ)を300億ドル(約3兆3000億円)で買収する交渉を行っていると噂されたが、今のところ、その方面に関するニュースはない。

関連記事:Intelが3.3兆円でチップメーカーGlobalFoundries買収を交渉中との噂画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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