インドでマイクロ・ローン事業を展開するAye Financeが1030万ドルを調達

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インドでマイクロ・ローン(小口融資)ビジネスを展開するAye Financeは、LGTがリードするラウンドで1030万ドルを調達したことを発表した。既存投資家のSAIF PartnersAccionも本ラウンドに参加している。

2年前に創業した同社が手掛けるのは、銀行などの伝統的な金融機関から融資を受けることが難しいビジネスオーナーを対象に小口融資を行う、マイクロ・ローン事業だ。創業者で元銀行員のSanjay SharmaとVikram Jetleyは、なにか「ソーシャルインパクト」のある事業を始めたいとの想いで母国インドに戻ってきた。

Sharmaによれば、同社の典型的な融資ボリュームは20万から30万インドルピー(2900ドルから4400)の間だという。融資対象となるのは、従来の金融機関から融資を受けることが難しい小規模ビジネスだ。しかしSharma は、同社は単に銀行やローン会社が手をつけていない下位マーケットを対象している訳ではないと話す。インドのEコマース・プラットフォームであるFlipkartには多数のマイクロ・アントレプレナーが参加し、そこで生計を立てている者も多い。Aye Financeは、そのようなEコマース・プラットフォームにも参加していないようなビジネスオーナーもターゲットにしている。

「融資を実行しようにも、ビジネスオーナーが納税申告書を保管していなかったり、帳簿をつけていない場合はどうすればよいか」とSharmaは同社のビジネスが抱える問題を説明する。

その問題を解決するため、同社はインド北部を中心に31の支店を設立した。これらの支店でインドの7つの州すべてをカバーしており、サイズは小さいが人員は十分に配置してある。そこでは、Aye Financeの社員がクラウドに同期されたデジタル・プラットフォームを利用して、融資希望者の財務状況を入力していく。Aye Financeでは「業種別クラスター」と呼ばれる概念を利用することで、融資希望者のビジネスを正確に評価することができるとSharmaは語る。先ほど述べたようなビジネスオーナーを極端なケースとして扱い、業種ごとに作成されたマトリックスを利用してビジネスを評価するのだ。例えば靴の製造業者の場合、日ごとの靴の製造数や、従業員1人あたりの製造数などの指標を利用することが考えられるだろう。このように、同社は従来の金融機関が見向きもしないような指標を有効活用しているのだ。

「私たちは8つの指標を利用して様々な業種の仕組みを理解しています」と彼は説明する。

同社の見込み客の多くはインターネットにあまり詳しくないため、彼らはローカルかつオフラインな方法で見込み客を開拓している。

「通常、業種クラスターはある地域にかたまって存在しています」と彼は加える。「2キロメートル四方のエリアに1万5000人もの潜在顧客がいるかもしれません—私たちが支店を設立するのに必要な(登録済みの)顧客数はたった1000人なのです」。

Aye Financeは月ベースで見ればすでに損益分岐に達しているものの、全体的な損益分岐に達するのは2017年の終わり頃だという。また、Sharmaは今後18ヶ月から24ヶ月以内に追加の資金調達を検討しており、それによって新しいタイプの金融商品にも手を広げていく予定だ。

それについてShamaは、「業務クラスターに関連した金融サービスを提供していきたいと思っています。例えば、デリーに同社の顧客を紹介できるような大規模のバイヤーがいる場合、当社が彼らにマーケットプレイスを提供したり、業務上のアドバイスや市場データの集約サービスなどを提供することが考えられます」と説明する。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

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TechCrunch Japan

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