インドのテックスタートアップの資金調達額は2019年に過去最高の1.6兆円を突破

インドのテックスタートアップがこれほど盛り上がったことはない。調査会社のTracxnによると、インドのテックスタートアップは2019年に145億ドル(約1兆6000億円)を調達し、過去最高だった昨年の106億ドル(約1兆2000億円)を上回った。

2019年にインドのテックスタートアップは、1185回の資金調達ラウンドに817人の投資家が参加した。うち459回はシリーズA以降のラウンドだった。スタートアップ向け融資を行うInnoVen Capitalのレポートによると、アーリーステージのスタートアップは今年、エンジェルラウンドとシリーズA以前の資金調達ラウンドで69億ドル(約7500億円)を調達し、昨年の33億ドル(約3600億円)をあっさり上回った。

InnoVenのレポートによると、一般的に投資家をひきつけるのに苦労することが多いアーリーステージのスタートアップの今年の資金調達の件数は前年比22%増加した。1社あたりのバリュエーションの平均は260万ドル(約2億8000万円)で昨年から15%増加した。

全体では、2500万〜1億ドル(約27〜109億円)の資金調達取引は81件で、昨年は56件、一昨年は36件だった。1億ドル(約109億円)を超える取引は27件あり、2018年は17件、2017年は9件だったとTracxnはTechCrunchに述べた。

インドでは2019年に、128のスタートアップが買収され、4社が株式公開し、9社がユニコーンになった。Tracxnによると、今年、インドのテックスタートアップも記録的な数の国外の投資家を魅了した。

今年の資金調達によって、急成長しているインドのスタートアップは着実な成長の道をさらに進むことになる。テックスタートアップの資金調達額がわずか43億ドル(約4700億円)だった2016年(前年の79億ドル(約8600億円)から減少)以来、エコシステムへの資本の流れが大幅に増加した。Tracxnによると、インドのスタートアップは2017年に104億ドル(1兆1000億円)を調達した。

「スタートアップの資金調達額は、2010年の5億5000万ドル(約600億円)から2019年には145億ドル(約1兆6000億円)へと、25倍を超える目覚ましい成長を遂げた」とTracxnはコメントした。

「インドのスタートアップについて同様に有望なのは、彼らが現在取り組み始めた課題だ」とVCファンド、Lightspeed Venture PartnersのパートナーであるDev Khare(デブ・カレ)氏は、TechCrunchとの最近のインタビューで語った。

「2014年と2015年の時点では、スタートアップは主にeコマースソリューションの開発と欧米市場で成功したアイデアのコピーに注力していた。しかし今日、彼らは幅広い分野で機会を狙っており、インドが世界初となるソリューションの開発も見られる」とカレ氏は述べた。

Tracxnの分析によると、宿泊施設のスタートアップは今年約17億ドル(約1900億円)を調達し、うちOyoだけで15億ドル(約1600億円)を調達したElastic Run、Delhivery、Ecom Expressなどの物流スタートアップの調達額も、6億4100万ドル(約700億円)に上った。

176の水平的マーケットプレイス、150を超える教育学習アプリ、160を超えるフィンテックスタートアップ、120を超えるトラック輸送マーケットプレイス、82の配車サービス、42の保険プラットフォーム、33の中古車リストプロバイダー、企業や個人へ運転資金を供給する13のスタートアップが今年資金を調達した。Tracxnによると、フィンテックのスタートアップだけでも今年32億ドル(約3500億円)を調達しており、他のどの分野のスタートアップよりも多かった。

投資家

50を超える投資(または共同投資)があるSequoia Capital(セコイアキャピタル)は、インドのテックスタートアップにとって今年最も活発なベンチャーキャピタルファンドだった。Googleのインドと東南アジアビジネス担当の元幹部、Rajan Anandan(ラジャン・アナンダン)氏は4月、Sequoia Capital Indiaにマネージングディレクターとして加わったAccel、Tiger Global Management、Blume Ventures、Chiratae Venturesが、Sequoiaを除くトップ4のVCだった。

Steadview Capitalは、配車サービスのOla教育アプリのUnacademyフィンテックスタートアップのBharatPeを含む9つのスタートアップへの投資により、プライベートエクイティファンドの先駆けとなった。NoBrokerに投資し、EdTech(エドテック)スタートアップのByju’sを最近黒字に転換させたGeneral Atlanticは、4つのスタートアップに投資した。FMO、Sabre Partners India、CDC Groupはそれぞれ3つのスタートアップに投資した。

HomeCapitalとBlowhornを含め40以上の投資を行っているVenture Catalystsは、今年インドのトップアクセラレーターまたはインキュベーターだった。Y Combinator25を超える投資を実行したほか、Sequoia CapitalのSurge、Axilor Ventures、Techstarsも今年非常に活発だった。

インドのテックスタートアップは、今年も多くのトップ企業や銀行から直接投資を引き寄せた。今月初めにフィンテックのスタートアップ、ZestMoneyに投資しGoldman Sachsは、今年合計で8件投資した。とりわけ、Facebookはインドのスタートアップに初めて投資した。投資先はソーシャルコマース企業のMeeshoとTwitterが1億ドル(約109億円)の資金調達ラウンドをリードしたローカルソーシャルネットワーキングアプリのShareChatだ。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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