インドの配車サービスOlaが「数週間以内」にロンドンで事業開始

インドの配車サービス大手であるOlaは11月26日、「数週間以内」に英国ロンドンで事業を開始すると発表した。世界で最ももうかる都市の1つであるロンドンでの配車サービスをめぐっては、現地のロンドン市交通局(TfL)がUberの営業免許を昨日取り消したばかりだ。

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昨年英国マーケットに参入したOlaは、ロンドンでの立ち上げを前にロンドンにおけるドライバーの受付を開始した。同社はこれまでに35億ドル(約3800億円)あまりを調達していて、Uberの現在の規模を上回るドライバー5万人を集めることを目指している。

Uberのライバルであり、ソフトバンクグループからの出資を受けているOlaは、今年初めにTfLから営業許可を得ている。同社は「英国内27都市でユーザー700万人にサービスを提供できる」と語っていた。

ドライバーを集めるために、Olaはドライバーが売上の多くを懐に入れられるよう「都合のいいコミッション」に変更を加えている、と語った。ただ、正確な数字は明らかにしていない。インドではOlaのドライバーの取り分は運賃の70〜74%で、加えていくらかの「インセンティブ」も得られる。

Olaの国際事業を統括するSimon Smith(サイモン・スミス)氏は、同社のモビリティプラットフォームがTfLの基準を「完全に満たしている」と述べた。声明文でスミス氏は「過去数カ月にわたって我々は当局、ドライバー、ロンドンのコミュニティと建設的な対話を行なってきた。イノベーティブで意義のある方法でモビリティの問題の解決に寄与することを楽しみにしている」と付け加えた。

11月25日、Uberはロンドンでの営業免許の更新を却下された。却下は2回目で、Uberのプラットフォーム上で偽のIDを使ったドライバーが1万4000回以上の乗車を提供していたことを確認しての措置だ。この点に関してOlaは、Uberができなかったことすべてを実施しているかどうか、より明確にさせることはできなかった。

Olaは「さまざまな安全機能を提供する」としている。ドライバー本人確認のための「業界初」の顔認証システム、運転免許証写真とドライバー画像の照合、TfLの要件を満たし認可を受けたドライバーだけがプラットフォームを操作できるようにする確固としたテクノロジーシステム、客とドライバーのための年中24時間無休のヘルプライン、Olaの安全対応チームに緊急通報するアプリ内ボタンなどだ。

ロンドンへの事業拡大は、Olaの国際展開という野心を物語っている。特に、インドにおけるOlaの最大のライバルであるUberが独占しているマーケットにおいては、Olaは強い野心を抱いている。OlaはインドでUberを突き放している。

ニュージーランドの一部とオーストラリアでも事業を展開しているOlaはこれまでのところ英国では地方都市に照準を当ててきた。英国の首都が欧州における主要マーケットであることを考えたとき、ロンドンへの進出はOlaにとって意義のあるステップとなる。Uberは「ロンドンで350万人のユーザーと4万5000人の登録ドライバーを抱えている」としている。

TfLは昨日、Uberの事業に「乗客の安全とセキュリティを危険にさらす一連の過ちが見られた」と語った。認可されていないドライバーがプラットフォームを利用しているのに加えて、解雇されたり停職処分になったりしたドライバーがUberアカウントをつくって客を乗せることを招いた別の過ちもあった、とした。

UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏はTfLの決定について失望と不服申し立ての意向を表明した。コスロシャヒ氏は「TfLの決定は間違いでしかない。過去2年にわたって我々はロンドンでの事業形態を根本的に変えた」と語った。Uberは申し立ての手続きの間、ロンドンでの事業を継続できる。

画像クレジット: MANJUNATH KIRAN / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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