インドの10分で食料品を届けるスタートアップ「Zepto」が創業半年で約68.5億円調達

学校の子どもたちのための通学用迎車アプリなど、数々のプロジェクトで協働し、新たなスタートアップを目指して2020年にスタンフォード大学を退学した19歳の2人の起業家が6000万ドル(約68億5300万円)を調達したと米国時間10月31日に発表した。過密で競争の激しいインドの食料品配送市場を改革する狙いだ。

Glade Brook Capital(グレード・ブルック・キャピタル)が、このスタートアップZepto(ゼプト)の最初の機関投資家向け資金調達ラウンドを主導したと、同社の創業者で最高経営責任者のAadit Palicha(アーディット・パリシャ)氏はTechCrunchのインタビューで語っている。このラウンドには、Nexus(ネクサス)とY Combinator(Yコンビネーター)の他、エンジェル投資家のLachy Groom(ラチー・グルーム)氏、Neeraj Arora(ニーラージ・アロラ)氏、Manik Gupta(マニック・グプタ)氏も参加しており、Zeptoの価値は2億2500万ドル(約256億9100万円)となっている。

今日までほとんどステルスモードで運営されてきたZeptoは、6カ月前にアプリを発表し、数カ月前から話題になっていた。ビジネスを説明するために数学用語を使った遊び心のある名前のこのスタートアップは、10分で食料品を配達するサービスを提供しており、多くの有力なライバル企業をスピード面で打ち負かしている。

この偉業を達成するために、Zeptoは事業を展開する都市(ムンバイ、ベンガルール、そして今週からはデリー)にダークストアを設置した。パリシャ氏によると、同社が設置したこれらのダークストアは、高速配送のために設計され、最適化されているとのことだ(Zeptoのアプローチは、在庫を通常の食料品店に依存している多くのインドのスタートアップとは異なる。これついて、同氏は他の市場を調査し、それらの会社を運営している事業者と話をしたと述べている)。

「私たちの現在の成長の仕方、そして現在の普及率と利用頻度を見ると、チャンスは本当に巨大です」と彼はいう。同社は、近々ハイデラバード、プネ、コルカタにも進出し、現在40店舗あるダークストアの数を2022年初頭までに100店舗以上に増やす予定だという。

Zeptoが運営するダークストア(画像クレジット:Zepto)

Zeptoを創設するアイデアは、2020年のパンデミックの際に、もう1人の創業者であるKaivalya Vohra(カイバリャ・ボーラ)氏と一緒にムンバイの自宅にこもっていた時に生まれたとパリシャ氏はいう。「私たちは、起業家やテック系スタートアップの世界に非常に深く触れていました。今、私たちはムンバイにいますが、独身の2人にとって最大の問題は食料品や必需品の確保でした」と述べている。

マハラシュトラ州では、他のインドの州と同様に、ウイルスの拡散を抑えるために封鎖措置がとられていたため、配達物が顧客のもとに届くまでに2~3日かかっていた。「非常に苛立ちを覚えました」と同氏はいう。

「世界最大級の規模を誇るインドの食料品宅配市場のオンライン状況が、重大な実行エラーに陥っていると感じたのです」と、企業名は伏せた上で付け加えた。

Zeptoは、Flipkart(フリップカート)、Uber(ウーバー)、Dream11(ドリーム11)、Pharmeasy(ファーミーシー)、Pepperfry(ペッパーフライ)の元幹部を含むチームを編成しており、SoftBank(ソフトバンク)が支援するSwiggy(スウィッギー)やGrofers(グローファーズ)、Google(グーグル)が支援するDunzo(ダンゾー)など、多くの支援を受けているスタートアップ企業と競合しており、その多くがここ数四半期で高速食料品配送分野に進出している。

「私たちは、このモデルを完成させるために、長い間、雑音を無視し、ひたすら頭を隠して活動してきました。そして、その努力が報われています。今日では、止めらないチーム、強固な製品インフラ、機関投資家の資金への深い繋がりのおかげで毎月200%の成長を続けています」とパリシャ氏は述べている。

Sanford C. Bernstein(サンフォード・C・バーンスタイン)のアナリストによると、2025年までに210億ドル(約2兆3900億円)の価値があると推定されている。「オンライン食料品販売の普及率は、現在の1%未満から2025年には3~5%に達すると予想されています。長期的な構造的要因としては、所得と豊かさの向上、低価格帯の消費、eコマースの普及(年率30%以上)、若い人口(25歳以下が50%以上)などが挙げられます。収入に占める食料品支出の割合は30%と依然として高い水準にあります」。と彼らは綴っている。

「既存の都市では、トラフィックが多く、コンバージョンとリテンションが増加しているため、より高い普及率を推進する余地が大きくあります。オンライン食料品販売の導入は、エンゲージメントレベルと注文量が加速しています。DAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)は、他の多くの食料品販売アプリ上でも、ロックダウン中に強い伸びを示しました。ダウンロード数は最近増加しています。オンライン食料品販売には、24時間いつでも買い物ができ、幅広い単品管理の品揃え、即日・翌日配送という需要側の利点があります」。と述べている。

画像クレジット:Zepto

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

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TechCrunch Japan

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