インドのPaytm、同社決済銀行が中国企業とデータ共有しているという報道は「完全な虚偽」と発表

インドのPaytm(ペイティーエム)は、同社の運営する決済銀行「Payments Bank(ペイメンツ・バンク)」のデータが中国企業に流出したと主張する報道は「完全な虚偽であり、センセーショナルに煽り立てているだけ」と述べた。このインドの大手フィンテック企業は、現地時間3月14日に同社の株が14.7%も急落して1株8.6ドル(約1020円)になった後、投資家の懸念を静めるために説明を急いでいる。

Bloomberg(ブルームバーグ)は米国時間3月14日午後、Paytm Payments Bankの株式を間接的に所有する中国ベースの企業とデータ共有を許可していることがインドの規則に違反しているため、Paytmのデジタルバンクは新規顧客の追加を禁じられたと報じた。

この報道に対し、Paytmの広報担当者は、Paytm Payments Bankは「国産銀行であり、データの局在に関するRBI(インド準備銀行)の指示に完全に準拠している」と述べている。

この広報担当者は「当行のデータはすべて国内に存在します。我々はデジタル・インディア政策の真の信奉者であり、国内の金融包摂を推進することに引き続き尽力していきます」と続けた。

Paytmの創業者で最高経営責任者のVijay Shekhar Sharma(ビジャイ・シェカル・シャルマ)氏はさらに、国営放送でこの報道を断固として否定し、Paytm Payments Bankに対する中央銀行の通知には「いかなるデータアクセスやサーバー、いかなるデータアクセス手段、またインド国外にサーバーがあるということにも、言及している点はまったくない」と、述べた。

インドの中央銀行であるインド準備銀行は、現地時間3月11日、ある種の「重要な監督上の懸念」を理由に、Paytm Payments Bankに新規顧客の受け入れを禁じたが、その概要は明らかにしていない。

「同行はIT監査法人を任命し、ITシステムの包括的なシステム監査を実施するようにも指示されている。新規顧客の受け入れは、IT監査法人の報告書を確認した後、RBIが認める特定の許可に従うことが条件となる」とRBIは付け加えた

3億人以上のユーザーを抱え、複数の事業を展開するPaytmは、RBIの措置が「Paytmの事業全体に重大な影響を与える」とは考えていないと述べている。

Paytmの株価は、月曜日に14.7%も暴落した後、わずかに回復した。記事公開時のPaytmの時価総額は57億2000万ドル(約6766億円)と、2019年後半の資金調達時の160億ドル(約1兆8925億円)から減少している。かつてインドで最も価値が高かったスタートアップは2021年、同国最大のIPOで25億ドル(約2960億円)を調達した

Paytmを最も鋭く批判してきたアナリストたちのいる証券会社Macquarie Capital(マッコーリー・キャピタル)は、今回の事態がPaytmに大きなビジネス上の影響を与える可能性は低いものの、同社が5月に資格を得る小規模金融銀行への「格上げ」の可能性は低くなるだろうと述べている。

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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