イーロン・マスク、運賃1ドルでLAの交通渋滞を改善する、とボーリング社の‘Loop’構想を語る

ボーリング社のイーロン・マスクとスティーブ・デイビスのエグゼクティブ2人が、‘Loop’でロサンゼルスの交通をどう刷新するか、その計画の詳細をいくつか明らかにした。Loopは一度に16人を運べる電動ポッドを最終的に活用する。マスクは、LoopはLAのダウンタウンからロサンゼルス国際空港の各ターミナルまで8分以内、そして運賃は1ドルで客を運ぶことができるとしている。

プレゼンテーションの大部分は、ボーリング社が現在やっていることは社会に混乱を起こすものでなければ、すでにある高速システムにさらに負荷をかけるようなものでもない、と市民を納得させることにフォーカスされた。

LAシナゴーグで開催された、この短時間のプレゼンテーションは予定より25分遅れで始まった。というのも、イーロン・マスクが遅れて来たためだ。彼は皮肉をこめて「渋滞にハマった」と言った。マスクはなぜ空飛ぶ車がこの“まったくうんざりする交通渋滞”問題を解決できないかについて、数分間熱弁をふるった。さらに、トンネルは空飛ぶ車のようにハラハラするようなものでなく、それでいて楽しいもの、とも語った。

この2人のエグゼクティブとともに登壇したのは、ボーリング社のマスコットであるカタツムリのGrayだ。

マスクは、ボーリング社のLoop構想は、地下鉄より都市生活にそぐうものになると語った。街中に大きな駅を建設するのはかなり困難な一方で、駐車場スポットサイズの駅をたくさん設けた方が理論的にはより効果的なはずだ、と。さらに、Loopが現存の交通体系を補強し、公共交通ラインをつなぐものになればいい、とも語った。

このLoop構想を前に進めるには、ボーリング社は自前の資金で掘った2.7マイルのトンネルからスタートする。先月、証券取引委員会に書類が提出されたが、そこにはボーリング社が1億1300万ドル弱の資金を調達したと記載されている。

このテストトンネルが完成すれば、マスクは無料乗車を提供すると提案している。ディズニーのテーマパークのように楽しい体験になるようにしたいと語り、「乗客は火炎放射器を持ってきてもいい」などとジョークを飛ばした。

以前マスクが述べたように、ボーリング社は、ポッドで車を運ぶより歩行者を優先したい考えだ。登壇した2人はLoopとハイパーループをはっきり区別したが、一方でマスクはこの2つのシステムがゆくゆくはシームレスに接続し、利用客は都市内部、そして都市間をわずかな渋滞で移動できるようになるとの理論を展開した。

Q&Aのとき、マスクはボーリング社がいつ環境影響調査を行うのかとの質問を受けた。それに対し、そのプロセスにかかる時間を考えると、テストトンネルではなくより大きなスケールのプロジェクトが前に進みそうになったら行うと回答した。

今回のプレゼンテーションからわかったのは、この構想がまだ初期段階にあるということだ。一方で、マスクとデイビスがこのプロジェクトを早急かつむやみに進めるのではなく、行政と協力しながら公共のためになる仕事をしていることも明らかになった。

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TechCrunch Japan

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