ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジを英警察が逮捕

ロンドン警視庁はWikiLeaks(ウィキリークス)の創設者Julian Assange(ジュリアン・アサンジ)をロンドンで逮捕した。アサンジ容疑者は逮捕から逃れるために2012年以来、ロンドンにあるエクアドル大使館に籠もっていた。エクアドルがアサンジュ容疑者の政治亡命を認めない姿勢に転じ、今朝早くの逮捕につながった。

逮捕をとらえたビデオには、髭をびっしりと生やしたアサンジ容疑者が大使館から連れ出される様子が映っていて、その中で彼は指を振って「英国には礼節がない」と言っている。

エクアドルのLenín Moreno(レニン・モレノ)大統領は、ビデオ声明でアサンジ容疑者の保護の却下を発表した。

「今日、アサンジ容疑者の無作法で攻撃的な振る舞い、エクアドルに対する敵意心や脅迫宣言、特に国際条約違反により、アサンジ容疑者の保護は持続不可能でこれ以上ありえないとの判断に至った」とMoreno大統領は説明した。

「エクアドルは2012年にアサンジ容疑者に与えた政治亡命を終わらせることを決定した」と付け加えた。

中でもモレノ大統領は、2019年1月のバチカン内部文書の漏洩を強調した。大統領によると、この漏洩はアサンジ容疑者がまだウィキリークスとつながっていることを証明するもので、大統領はアサンジ容疑者が他国の内政に干渉していると考えている。

「アサンジ容疑者の振る舞いに対し、エクアドルは我慢の限界に達した。彼は電子機器や許されていない歪んだ装置を持ち込んだ。彼はロンドンのエクアドル大使館のセキュリティカメラをブロックした。また監視人に反抗し、監視人をひどく扱った。彼は許可なしに大使館のセキュリティファイルにアクセスした。そして隔離されて扱われることを求め、大使館が提供するインターネット接続を拒んだ。にもかかわらず彼は携帯電話で外の世界と連絡をとっていた」。

アサンジ容疑者を追放する前、エクアドルは英国当局に「アサンジ容疑者が拷問や死刑に直面する可能性のある国」にアサンジ容疑者を送還しないよう求めた。英国政府はその要求を守ることに同意した。

ロンドン警視庁は以下のコメントを出した。

ジュリアン・アサンジ(47才、1971年7月3日生まれ)は本日4月11日木曜日、2012年6月にウェストミンスター司法裁判所が発行した逮捕状に基づき、ロンドン警視庁によってHans Crescent, SW1のエクアドル大使館で逮捕された。

アサンジ容疑者は中央ロンドン警察の拘置所に移され、ウェストミンスター司法裁判所に「できるだけ早く」出廷するまで、そこで過ごすことになる。

ロンドン警視庁はウェストミンスター司法裁判所に代わって逮捕状を実行する義務があり、エクアドル政府が保護却下を決定したことを受け、大使により大使館に招き入れられた。

Wikileaksは、アサンジ容疑者が自発的に大使館を去ってはいないとツイートした。英国警察が「招き入れられ」、ただちにアサンジ容疑者を逮捕した、と記した。

我々はWikileaksに正式のコメントを求めている。アサンジ容疑者と、何年にもわたりロンドンのナイトブリッジにある大使館で彼に政治的な保護を提供してきたエクアドルの関係は、このところ急速に悪化していた。

昨年、大使館はアサンジ容疑者のインターネットへの接続と外部との連絡を遮断した。これは、アサンジ容疑者が他国の内政に干渉するようなメッセージは出さないという文書での約束を破った後に、彼を孤立化するための手段だった。後に、国連の介入を受け、インターネットへのアクセスと外部からの訪問を部分的に復活させた。しかし明らかにWikileaks創設者に対するエクアドルの忍耐は限界に達していた。

アサンジ容疑者はスウェーデン当局が性的暴行容疑で逮捕状を出した後に大使館に逃げ込んだ。女性2人が性的暴行と不当強制でアサンジ容疑者を訴えている。スウェーデン当局は、英国からアサンジ容疑者引き渡しを受けるための欧州の逮捕状を模索したが、2017年に捜査を打ち切った。しかしアサンジ容疑者は、米国政府の機密文書を漏洩させたとの告発に直面することになる米国への引き渡しのリスクが依然あると主張していた。

英国当局が今日アサンジ容疑者を逮捕した理由は、2012年にエクアドル大使館に政治亡命を求めたことで、英国の保釈条件に反した、ということだ。英国のJeremy Hunt(ジェレミー・ハント)外相はTwitterで、強い言葉でもってアサンジ容疑者のニュースにコメントした。

英国は米国と犯罪人引き渡し条約を結んでいるため、米国当局が米国の機密を漏洩させた罪でアサンジ容疑者の引き渡しを要求する可能性はかなり高い。だが同様に、アサンジ容疑者が引き渡しの試みに対抗することもかなり考えられる。

外交・広報を担当する米国のSteven Goldstein(スティーブン・ゴールドスタイン)国務次官は昨年初めの記者会見で、アサンジ容疑者に市民権を与えることについてのエクアドルの判断について尋ねられた。その際、ゴールドスタイン国務次官はアサンジ容疑者を裁判にかけるために米国に連れてくることを検討すべきかどうか議論していない、と答えていた。

しかしWashington Postは昨年11月、アサンジ容疑者が米国で訴追されたと報道した。後に検察は関連のない裁判文書で誤ってアサンジ容疑者追訴の状況を明らかにした。

アサンジ容疑者にかけられる容疑は、明らかになった文書では不明だった。しかし彼に対する容疑があり、それを元にトランプ政権が告訴するのは明らかだ。Wikileaksはアサンジ容疑者にかけられた容疑は報道の自由を脅かすものだと強く主張している。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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