ウェアラブル市場の分かれ目は「妥協」

フィットネスアプリとウェアラブルが牽引力を増す中、Android Wearの発表によって、消費者は初めて〈使えるであろう〉スマートウォッチを提示された。これからの数ヵ月や数年、この新カテゴリーは、MicrosoftのOSに対する統一アプローチ〈対〉AppleのiOSとMac OS Xの意図的な多様化、に似た決断を消費者に迫るだろう。

Windows 8は、「妥協なき」オペレーティングシステムとして設計されたことがよく知られている。タブレット、ノート、デスクトップを含むあらゆるカテゴリーのデバイスに統一された体験を提供する。これは、キーボード、マウス、タッチ、スタイラス等の複数タイプの入力、およびコートのポケットに入る小さなダブレットから、テレビ兼用にも使えるオールインワン機までの様々なフォームファクターを扱えるインターフェースをデザインすることを意味している。

Appleは正反対のアプローチを採用した。自社デバイスはそれぞれのフォームファクターに合わせて正しく妥協してデザインする。iPadのラインアップはタッチに、Macのハードウェアとソフトウェアはキーボードとマウスに、それぞれ最適化されている。

これまでのところ、二つの哲学の間に起きている矛盾は、伝統的PCにおけるWindows 8に対する緩やかな反応と、iPadがライバルのWindows 8タブレットたちを ― Microsoftがゴールをずらして、Surface 3タブレットの本当にライバルはMacbook Airだと言うところまで ― 圧倒しているという結果を招いている

SurfaceがノートPCとタブレットの融合体であるように、Android Wearデバイスは、フィットネス中心のウエアラブルとスマートフォン、それぞれから機能を取り入れている。歩数や心拍数を測定することができるスマートウォッチに、将来メーカーはさらに健康情報を得るために、あらゆるセンサーを投入するに違いない。センサーとバッテリーと画面を詰め込み、さらに道順を値るなど複雑な対話に必要なインターフェースを備えるために、彼らは大きさを犠牲にするだろう。

ウエアラブル界のもう一方の端には、Jawbone UPのように、センサーとワイヤレス機能以外をすべて剥ぎとったデバイスがある。これらの製品はより快適で、バッテリー寿命も長く、デバイス自身には事実上ユーザー体験がない。市場が拡大し、センサーが小さく安くなるにつれ、こうしたデバイスは安くなる一方だ。

どちらの哲学が消費者に受け入れられるかは興味深い。人々は、携帯電話を1台しか持たないのと同じように、1種類のデバイスを腕に巻き、最小限に妥協したデバイスを使うのか? それとも、固有の興味や健康への気遣いのために、減量用にリストバンドを1つ、睡眠習慣の監視にもう一つという具合に選ぶのか。

あるいは、ださいと思われることを乗り越えて複数のデバイスを身に付けるのか。片腕に通知と音声検索のためのスマートウォッチ、もう一方の腕にはセンサー満載の様々なデバイスを、用途に応じて取っかえひっかえするのかもしれない。

Android Wearが今日初めて市場に現れたばかりで、Appleの “iWatch” は来たる10月に発表されるであろうという今、予言するにはまだ早すぎる。どちらの会社とも両面作戦をとっているようだ ― GoogleはAndroid WearとGoogle Fitを提供し、Appleは自社独自のウォッチを作りつつ、Healthアプリで複数デバイスのデータを管理しようとしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


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TechCrunch Japan

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