ウェブからモバイルアプリをストリームするサービスのAgawiをGoogleが買収していたことを認める

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ネイティブアプリがウェブを席巻している。ユーザーがスマートフォンでエンターテイメントや情報が欲しい時、ほとんどの場合、アプリを利用するからだ。ウェブをユーザーに利用してもらうことで多額の利益を得ている企業が、ユーザーが更にウェブを利用するようになる方法を模索していると聞いても、驚くことではないだろう。The Informationによると、Googleは昨年、秘密裏にモバイルアプリをダウンロードしなくともウェブ上でストリームできる技術を開発するAgawiというスタートアップを買収していたと伝えた。Agawiのサービスでは、アプリ内広告にゲームのプレビューを表示してアプリの宣伝に活用できる。

TechCrunchの買収についての質問に対し、Googleから直接、無愛想な回答があった。「AgawiのチームはGoogleに参加しました。詳細を開示する予定はありません」とスポークスマンは話した。

確認が取れる前にも、これを裏付けるヒントはいくつもあった。Agawiは既にビジネスを停止している。彼らのウェブサイトはもう存在せず(少し皮肉な状況だ)、そして複数あったTwitterアカウントも2013年から更新が途絶えている。

Agawiの3名の元従業員は、Googleで働いているとLinkedInのプロフィールに表示されている。共同ファウンダーのRohan Relanを含め、全員ソフトウェアエンジニアだ。他の2名の共同ファウンダーである、Peter Relan (取締役会長)とRajat Gupta(CEO)のLinkedInの職務経歴には、Googleは記載されていない。

これらの情報はGoogleがAgawiを買収することで、彼らのテクノロジーを大手検索サイトに適用し、ユーザーをウェブに呼び戻すために動いていることを示唆している。特にコンテンツを楽しむのにアプリをダウンロードしなくても良いようにしたいようだ。一方でGoogleのアプリプラットフォームであるAndroid Play事業に関する数字は、この動きを全面的に支持してはいないように見える。例えば、Googleは開発者に対し70億ドルを支払っている上に、アプリストアには100万個以上のアプリが掲載されている。

しかし、Googleがユーザーの関心をアプリに集めたり、ウェブからでもアプリを利用できる方法を模索したりする理由は明らかだ。彼らの利益の大半は、ウェブ検索とそこに掲載される広告から来ているのだ。

AppleのiOS 9に組み込まれた新しいディープリンクに基づく検索機能は、Googleの中核となるビジネスモデルを脅かすことになるかもしれない。なぜなら、Googleやウェブを使用しなくてもアプリ内からコンテンツを検索する代替手段となるからだ。

Googleももちろん、自社のアプリビジネスを着々と構築してきた。例えば、ネイティブアプリ内での検索機能だ。彼らは、ディープリンクでアプリサービスを改良し、アプリと500億ものリンクをインデックス化することで、オンラインでも検索できるようにしている。またGoogle Nowには100のアプリが統合されている。

GoogleがAgawiのテクノロジーを活用する方法の一つとしては、Googleが進めるアプリ検索機能を改良することだ。彼らのストリーミングテクノロジーで、ユーザーがアプリを探して、ダウンロードする前にプレビューを確認することができるようになる。

Appleの新しい検索機能では、ディープリンクテクノロジーを活用し、アプリ内のコンテンツを浮かび上がらせることができる。iPhoneやiPadのユーザーが、アプリ内を検索できることで、Google検索やウェブを通して探す手間が省けることを意味する。現在Appleの検索は、ユーザーが端末にインストールしたアプリにしか対応していないが、近いうちにインストールしていないアプリも広範囲に検索できるようになることが予想される。

Agawiは、Peter RelanのYouWebインキュベータープログラムから始まった。2010年(当時の名前はiSwifterだった)に始まり、いくらか形を変えてきた。理論上では、彼らのテクノロジーはどのような種類のコンテンツにも対応するそうだが、まずはゲームの分野に注力してきた。また、ユーザーが広告内からゲームをプレイできる広告ユニットの開発も行ってきた。

後述のプロダクトは、Googleも関心を示すものだろう。Android OSは全世界で使用されているスマートフォンの大半に搭載され、Googleはモバイル広告を牽引している存在でもある。

リッチメディアやプログラミング主導の広告分野では、他にも多くの企業が開発を行っている。例えば、Facebookのアプリ内の体験の改良だ。今回の買収はGoogleがモバイルでの広告アプローチを革新的な方法で再度刷新するサインなのかもしれない。

この広告ユニットは、多機能なアプリインストール広告と捉えることができるだろう。私たちが知るかぎり、広告ユニット内でストリームするゲームの時間を決めることができ、その後はプレビューに変化し、更にはアプリストアからダウンロードするためのリンクにもなるのだ。

Googleからの情報と追加情報をアップデート済み

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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