ウェブ制作経験者が人力で最適な紹介を——B2Bマッチング「Web幹事」シード資金5700万円を調達

ウェブ制作会社と制作依頼企業とのマッチングに特化した、BtoBのマッチングプラットフォーム「Web幹事」が今日11月5日、リリースされた。運営するのは2015年4月設立のユーティル。ユーティルは同日、シードラウンドでエンジェル投資家などからの投資や金融機関からの融資を合わせ、総額約5700万円の資金調達を実施したことも明らかにしている。

ユーティルを設立した代表の岩田真氏はジャフコ出身。新卒入社から3年間、投資部に所属し、数億円単位のベンチャー投資に携わっていた人物だ。ユーティル創業から3年間は、ウェブ制作会社として50社以上のウェブを制作してきた。

ビジネスマッチングの仕組み・サービスは既にいろいろ存在していて、アイミツ発注ナビ比較ビズといったマッチングサイトや比較サイト、個人のフリーランスを対象にしたクラウドソーシングサービスなどもある。そうした中で、岩田氏はWeb幹事の特徴を「ウェブ制作に特化しており、制作会社の経験を仲介に生かしている点」と話す。

Web幹事では「制作経験のないカスタマーサポートの担当者が右から左へつなぐ、というのではなく、ウェブ制作の背景や相場観を持った担当者が、適切なマッチングを人力で行っている」という。岩田氏は「一括請求などの仕組みの場合、制作会社のリストがダーッと送られてきて、電話もたくさんかかってくるが、結局ユーザーに制作に関する知識がなく、どこへ発注するか選べない、ということも多い。我々は、1社から2社の最適な制作会社を紹介するので、ユーザーは結果として手間が減ることになる」とWeb幹事の特性について説明する。

ユーザー企業の要件がはっきりせず、そのままでは制作依頼に結びつかないと思われる場合は、「制作会社へつなぐ前に、僕らのところで防いでいる」とのこと。これを完全に人力で行うのは大変ではないか、と聞いたところ、岩田氏は「1時間あれば、大体のクライアントからのヒアリングは完了する」という。ユーティルでは、ユーザー企業からは費用を取らないが、案件成約時に制作会社から10%の報酬を手数料として受け取れるため、十分ビジネスとして成り立つ、という仮説でスタートしたと岩田氏は述べている。

Web幹事は2018年5月より、ステルスでサイトを公開し、サービスインした現在、掲載されているウェブ制作会社は3600社。「ランディングページ制作に強い」「不動産業界に強い」など、さまざまな切り口で制作会社を検索できるようになっている。

利用のトラフィックが増えれば、将来的には制作会社を評価できるよう、口コミなどの機能も取り入れる予定だ、と岩田氏。今回の調達資金は、それらも含めた機能改善や新機能追加のための開発費に充てるという。また、同社が提供する、ウェブ発注に関するユーザー向けコンテンツの充実・強化にも使う、とのことだ。

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TechCrunch Japan

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