ウォルマートが25の配送センターにSymboticのロボットを導入

配送センターや倉庫用のロボットを作っている企業に、彼らの顧客企業が自動化を図る理由を尋ねてみると、異口同音に労働力不足や作業のスピードアップを挙げる。しかし迫りくる本当の真実は、ひと言に要約される。「Amazon(アマゾン)」だ。そして、最悪の危機を感じているのが小企業であることは事実だが、このオンラインリテールの市場支配に対して免疫のある者は1人もいない。スーパーマーケット最大手のWalmart(ウォルマート)でもだ。

米国時間7月13日は、このリテール大手の仲間がロボティクスの最新のパートナーシップを発表し、マサチューセッツの自動化企業Symboticとチームを組むことになった。本日の発表で両社はこれまでの協力関係をさらに拡大して、ウォルマートの25の流通センターをロボット化、「数年後」に完了する。

2017年のパイロット事業では、Symboticの自律型ロボティクスプラットフォームをウォルマートのフロリダ州ブルックスビルの流通センターに導入して、仕分けや棚卸し、荷降ろしの増量を狙った。

今回のプレスリリースではウォルマートのサプライチェーン担当執行副社長のJoe Metzger(ジョー・メッツガー)氏は次のように述べている。「今日行われているDXは顧客の習慣の進化にともなうものであり、小売業界の形を変えつつあります。現在と未来の顧客に奉仕するためには、私たちの事業が社員たちに正しいツールと教育訓練を提供し、顧客が求める品物を彼らがそれを欲するときに、比べられないほどの利便性で提供できなければなりません。私たちは今、その過程をエンド・ツー・エンドまで最適化するために、サプライチェーンに対する前例のないほど大規模な投資を行っています」。

ウォルマートはここ数年間、ロボットのパイロット事業に熱心で、一部を実際に採用しようとも考えていた。しかしながら前にも述べたように、現在のところその結果にはムラがある。最も目立つのは、Bossa Nova Roboticsのケースだ。同社のロボットは在庫管理用に採用されたが、突然、契約を打ち切られた。もちろんパイロット事業だったが、小さなスタートアップにとって打撃は大きい。

それに比べると、Symboticには実績がある。同社の顧客には、ウォルマート最大の競合他社であるTargetがいる。ウォルマートには、ロボティクス部門としてKiva Systemsを買収したAmazonのように、独自にスタートアップを買収する手もあったと思われるが、彼らとの関係の現状を見るかぎり、それはハードルが高いようだ。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:WalmartSymbotic倉庫eコマース

画像クレジット:Walmart

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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