ウォールマートが他社小売業者向けのラストマイル配達サービスGoLocalを発表

本日、ウォールマートはWalmart GoLocalという名の新たなデリバリーサービス事業を発表した。本サービスは、ほかの販売業者(大規模/小規模問わず)が、ウォールマートがもつデリバリープラットフォームを使って顧客から商品のオーダーを受けられるようにするものだ。販売業者は、配送時間指定や時間指定なしの配送、当日配送を含むさまざまな配送タイプを選んでサービスを利用することができ、配送容量とカバーエリアを顧客のニーズに応じて拡大することが可能になる。

GoLocalは、ウォールマートが当初同社のデリバリーニーズに応えるために開発したサービスによって支えられている。過去3年間ウォールマートは、2時間以内の配達を保証してくれる自社開発のExpress Deliveryサービスの拡大に力を注いできた。同社によると、本サービスは3000件の小売店から16万個以上の製品を取り扱っており、アメリカ人口の70%近くをカバーしているそうだ。そこでこの度、これらの機能をGoLocalを通してアメリカ全土のほかの販売業者にも提供していける準備が整ったとのことだ。

この新しいB2Bサービスのおかげで、販売業者がウォールマートのラストマイルネットワークとロジスティクスを活用することができるようになるものの、必ずしもウォールマート社員が配送するというわけではない。少なくともまず現段階では。

代わりに、GoLocalのラストマイル部分は、ウォールマートのSpark Driverプログラムに加入するギグワーカーによってまかなわれることとなる。また、同ドライバーが、ウォールマートの当日食材配送もサポートする。しかし、当日配送サービスが、付加的にRoadie、DoorDash、Uber傘下のPostmatesといった他社配送サービスにも頼らなくてはいけない一方、GoLocalではそれら他社配送サービスが関与することはないとウォールマートは語っている。

代わりにウォールマートは、自前ベースの配送をより増やせるようGoLocalを時間をかけて拡大させていく予定だ。例えばすでに、ウォールマートはノースウェスト・アーカンソー(アーカンソー州北西部)において、電気自動バンでの自前配送をテスト中だ。これらのバンを用いることで、ウォールマートはSpark Driverの個人用乗用車やトラックには収まらない大きな製品を取り扱う、より多種多様な販売業者のために配送を強化することができるようになる。またウォールマートは、ドローンや、すでに同社がExpress Deliveryサービスで実験している自律自動車のような、最新鋭の技術革新を通してGoLocalデリバリーを進化させていく予定だ。

「我々の顧客のため、安定したラストマイルデリバリープログラムを作るのにかなり努力をしてきた」と、米ウォールマートLast Mile部門役員(SVP)のTom Ward氏は声明で語っている。「これらの機能を活かし、地元の販売業者などさらに別の顧客にサービスを提供することができるようになり喜んでいる。地元のパン屋からだけでなく、全国規模の小売業者からの自動車用品の配送まで、Walmart GoLocalは、販売業者のあらゆる規模と業界に合わせてカスタマイズできるように設計されている。それにより顧客が配達スピードと効率を我々に任せ、彼らが最も得意とする分野に集中することができる。」と彼は加えている。

GoLocalに参加する際、ビジネスの大小規模は問わない。小さな個人経営のお店から全国規模の販売店まで誰でも本サービスの利用を選択することができる。さらにWalmart.comのマーケットプレイスで販売する必要もない。これは、ウォールマートが保管と配送両方を請け負うフルフィルメントサービスではないからだ。これはあくまでラストマイルの配送部分のみだ。商品の在庫管理は各自の販売店となる。

どんな小売店でもGoLocalを利用できるものの、始めるには小売店側で技術的な統合を必要とする。ウォールマートは、顧客が商品を発注した際にGoLocalに通知をしてくれる、自社の既存商用プラットフォームに繋がるためのAPIを提供している。これがGoLocalにドライバーを配備するよう促し、同時にウォールマートが配送の顧客フィードバックを取得するとのことだ。もしこれが広く普及すれば、ウォールマートはローカル配送データを獲得して分析ができるようになり、それにより自社配達事業の改善やフルフィルメントセンターの配置に関する意思決定に役立たせることができるようになる。これは競争上かなりの利点となる可能性を秘めている。

すでに全国規模の小売業者との契約を含め、いくつかの商用パートナーがすでにGoLocalに登録してくれているとのことだが、まだ彼らの名を公開する許可がおりていないとウォールマートは語っている。サービスの価格は、さまざまな機能を備えたホワイトラベルオプションとして各小売業者の個々のニーズに合わせてカスタマイズされていると説明しており、サービスの価格については詳しくは公開しないだろう。

本サービスは、ウォルマートが他の小売業者のニーズに応えることで収益を生み出すために現在進行中のいくつかの取り組みの1つだ。例えば最近では、ウォールマートは自社のeコマース技術へのアクセスを小売業者へ販売すると発表した。これはウォールマートの大きな戦略の一部であり、これまで自社の事業にのみ使用していた技術やサービスへのアクセスを提供することで利益を上げることに期待を向けている。

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TechCrunch Japan

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