エクスペディアやオッペンハイマー、フィリップスが利用するデータ解析事業展開のSisenseが87億円超を調達

複数ソースからのデータの分析と視覚化を支援する企業であるSisense(サイセンス)は、Insight Venture Partners主導による8000万ドル(約87億7000万円)のシリーズE投資を受けたと、1月9日に発表した。さらに同社は、Duo SecurityとZendeskでCOOを務めていたZack Urlocker(ザック・アーロッカー)氏が取締役会に加わったことも公表した。

Sisenseの過去の投資会社には一流企業が名を連ねており、このラウンドにも参加している。Battery Ventures、Bessemer Venture Partners、DFJ Venture Capital、Genesis Partners、Opus Capitalなどだ。今回の投資により調達総額は2億ドル(約220億円)に近づいた。

CEOのAmir Orad(アミール・オラド)氏は、複雑なデータを分析とビジネスインテリジェンスを用いて単純化し、あらゆる形で届けるという私たちの使命を投資家が気に入るのは当然のことだと話している。情報は会社中にあるディスプレイ、デスクトップパソコン、スマートフォン、さらにはAmazon Alexaを通じても得ることができる。「できる限り簡単にデータにアクセスでき、論理的な方法でデータを噛み砕き、あらゆる論理的な場所に埋め込める方法を私たちは見つけました」と彼は解説する。

その使命が共鳴しているようだ。同社には名前を挙げるならば、エクスペディア、オッペンハイマー、フィリップスなどなど、1000を超える顧客がある。オラド氏によれば、Sisenseは、ナスダック・コーポレート・ソリューションを支える分析エンジンにもなっているという。これは、企業の最高財務責任者たちが投資家向け広報活動用システムとして中心的に使っているものだ。

企業価値については、オラド氏は「自分とは関係のないエゴブースト」だと称して話したがらなかった。むしろ彼は、投資家が与えてくれた資金をいかに効率的に使っているか、または顧客満足度で評価されたいという。IPOの噂についても何も語らなかった。その話題に関して彼は、「自分が生み出す価値に集中すれば、いいことが起きる」と繰り返している。

とは言え彼は、アーロッカー氏の合流を明白に喜んでいた。オラド氏によれば、2人は6カ月間かけてお互いを知り合い、いくつもの企業を立ち上げてイグジットを成功させてきたアーロッカー氏が彼の会社に合流してくれると見込んでいた。彼こそが、会社にゴールラインを切らせてくれる人物だとも思った。そしてそれは現実となった。アーロッカー氏の以前の会社であるDuo Securiy(デュオ・セキュリティー)は、23億5000万ドル(約2570億円)でシスコに買い取られた

現在のところ、2010年に創業したSisenseは、別の8000万ドル(約87億6000万円)を銀行に保有している。すでに、ニューヨーク、テルアビブ、キエフ、東京のオフィスに500名近い従業員が配置されているが、さらに増員する予定だ。とくに、国際的な存在感を攻めの姿勢で高めるために、カスタマーサクセスとフィールド・エンジニアリングに人を増やしてゆく計画だ。オラド氏はまた、「才能とテクノロジーと存在感があるなら、常に考えておくべきです」と、適切な機会の企業買収にはオープンである考えを示した。

シリーズE投資を獲得し、数億ドルの資金を調達した同社は、遅かれ速かれイグジットの話が持ち上がるようになるだろう。企業幹部として豊富な経験を持つアーロッカー氏を迎え入れたことで、その可能性は高まった。しかし、今のところ同社は成長と発展を続け、なるようになるという気持ちでいるようだ。

画像クレジット:guvendemir / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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