オバマの選挙戦で分析を担当したDan Wagnerのデータ活用コンサルCivis Analyticsが$22Mを調達…‘なぜデータの専門家がTrump勝利を当てられなかったのか’

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Barack Obamaの2012年の選挙戦で主席分析官を務めた人物が創業したCivis Analyticsが、このほどシリーズAで2200万ドルの資金を調達した。

ファウンダーでCEOのDan Wagnerが選挙後に語ったところによると、彼が選挙戦の期間中に直面したさまざまな問題は、今多くの組織(企業だけでなく政党や政府機関なども含む)が対応に腐心している問題でもある。

今Civisの顧客たちが悩んでいる問題も、まさにそれで、それは、データから得られた情報の現実的な活用(“operationalize data intelligence”)、という目の前の生きた課題だ。たとえば、企業が抱える問題の典型が、“データからどうやって真実と予測を確立するのか、そして、その真実をどうやって行動指針に結びつけるのか”、だ。そこでCivisが作ったのは、顧客の企業等がデータを理解し、そのデータを利用して予測を作り出し、次に取るべき推奨ステップを得るための、“ワンストップショップ”だ。

そしてWagnerによれば、“今世の中には十分な数のデータサイエンティストが存在しない”。そこでCivisは本来のコンサルティングビジネスをより充実させるとともに、今では、“100名のデータサイエンティストの知識を集めてそれをワンセットの技術へとラップする”、ということをやっている。そういう、知識と技術をパッケージ化したツールによって、少人数のデータサイエンティストのチームがこれまでよりも効率的に、より多くのクライアントに対し、仕事ができるようになっている。

Civis Analyticsの顧客は公共部門と民間部門の両方にいて、その中にはAirbnb, 2020年国勢調査(Young & Rubicamとパートナー)、Verizon(本誌TechCrunchのオーナー)などもいる。

Wagnerによると、同社はありとあらゆるデータサイエンスの問題を解こうとしているわけではない。むしろ同社が望むのは、顧客を支援して“人間を本当に理解することによって、これから行うべき正しい態度や行動を予測できるように”していくことだ。企業の場合は、顧客や潜在的な顧客を理解しなければならないし、政府機関なら住民や国民を、そして選挙戦なら投票者を理解しなければならない。

Civis media optimizer

Civis Analyticsは以前、シード資金をAlphabetの執行会長Eric Schmidtから調達したが、それまでの3年半はほとんど自己資金のみでやってきた。Wagnerが語る思い出話によれば、資金を提供する時Schmidtは彼に、“きみはこれで苦しむ必要がある”、と言った。〔投資家への責任という重荷を負うべき、の意。〕

ではなぜ、今また資金を調達するのか? Wagner曰く、今の同社の収益で社員を135名に増員することは可能だが、でも今は、もっと積極的に会社を大きくすべきタイミングだ、と。

今回の新たな投資ラウンドはDrive Capitalがリードし、Schmidt, Verizon Ventures, そして世界最大の広告持ち株企業WPPが参加した*。DriveのChris Olsenが、Civisの取締役会に加わる。〔*: 複数の有力広告代理企業を傘下に抱える。〕

同社は今年の大統領選には関与しなかったが、Wagnerの経歴を知る者としては、選挙について聞かないわけにはいかない。彼は、結果には“大いに落胆した”と認め、しかし、Donald Trumpの、選挙人団(Electoral College)制度*による意外な勝利で、選挙戦におけるデータサイエンスが無意味になるわけではない、と主張する。〔*: 選挙人団制度にはアメリカ国内でも批判がある。問題の性格が、日本の“一票の格差問題”とやや似ている。〕

“Trumpはテクノロジーで一風変わった予想外のことをした”、とWagnerは言う。“それによって選挙戦とデータ分析の関係が変わることはないが、選挙戦のあるべきやり方がたぶん変わるだろう”。

彼によれば、“壊れていたのは”、分析の方ではなく測定の方だ、それは“変わらなければならない”、という。

“電話による世論調査を政治的測定の手段にすることは、たぶん、もうだめだろう。それは今や死に体だし、誰もがそのことを知っている。国内では、商業的にも公共的にも、電話だけに限定されないマルチモード、そしてオンラインのパネル〔討論場, Twitterなど〕に移行が進んでいる。そういう新しい状況に適応する必要があり、しかも非常に迅速に適応しなければならない”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

投稿者:

TechCrunch Japan

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