オフィス向けケータリングサービスのZeroCaterが410万ドルを調達

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アメリカでは毎期のように、フードデリバリー企業が誕生ないし資金調達を行っている一方、Sprigのように事業を縮小したり、Spoonrocketのように事業を全面的に停止してしまった企業も存在する。

そんな中生き残ったプライヤーを見ると、フードデリバリー業界でもオフィス向けケータリングの分野に特化したサイトやアプリを運営する企業の存在が目立っている。Technomicの調査によれば、この分野の市場規模はアメリカだけでも200億ドルに達するのだ。

2009年に設立されたZeroCaterは、オフィス向けケータリングに早くから目をつけていた企業のひとつで、この度Romulus Capitalが主導し、Struck Capitalも参加したシリーズAラウンドで410万ドルを調達した。

ZeroCaterのCEO兼設立者であるArram Sabetiは、起業について学ぶために以前スタートアップのJustin.tvで働いていた。そしてオフィスマネージャーとしてチームのためにケータリングを頼む際のめんどくささに嫌気がさしてZeroCarterをはじめたと彼は語った。

また、システム面への投資を行うまでの長い間、Sabetiは簡単なスプレッドシートを使ってZeroCaterを運営していた。その後、ウェブサイトやアプリ、バックエンドシステムへの投資を行い、美味しい食事を求めながらもそれぞれの好みやニーズを持ったオフィスで働く人々とレストランを結びつけることに成功したのだ。

ZeroCaterを使えば、オフィスマネージャーやケータリングの注文を行う人は、各チームメンバーの好み(味の好みやアレルギー、ライフスタイルなど)をサイトに登録することで、2回目以降はワンクリックで注文ができるようになる。

Sabetiによれば、シリーズAで新たに調達した資金は、現在ZeroCaterがいるオフィス向けケータリング市場での事業拡大と、さらなる製品設計・開発にあてられる予定だ。

サンフランシスコを拠点とする同社は、現在オースティン、シカゴ、ニューヨーク市、ニュージャージーの一部地域、サンフランシスコ・ベイエリア、サンノゼ、そしてワシントンDCでサービスを展開している。ZeroCaterは、オフィスワーカーの人口密度が高く、中規模から大規模の企業が多いエリアに焦点をあてているため、郊外への進出は考えづらい。

個人の注文よりもオフィスにいる何人かのグループでの注文の方が、配達1回あたりの金額が高いため、Grubhubのようなテイクアウトサービスに比べ、値段が高めのレストランもZeroCater経由での注文には応じやすいとSabetiは説明した。

さらに企業向けケータリングというアイディアは、素晴らしいチームやトラクション、テクノロジーのほか、健全な「ユニットエコノミクス」を重視するベンチャー投資家にとっても魅力的なものだとRomulus Capitalの設立者兼ジェネラル・パートナーのKrishna K. Guptaは語る。

「20倍の資金を調達した企業でも、ZeroCaterほど上手く事業を運営できていません」と彼は付け加えた。

Romulus Capitalは、ほかにもeLaCarteのようなフードテック企業や、建築業者向けツールや機械のC2Cレンタルサービスを運営するEquipmentShare、フィットネスコースのClasspassなど、マーケットプレイスを運営する企業にも投資を行ってきた。

ZeroCaterは、ベンチャーキャピタルの支援を受けてオフィス向けフードデリバリーサービスを運営するBento、Cater2Me、EatClub、eZCater、Farm Hill、Zestyといったスタートアップと競合しており、このようなスタートアップの数は増え続けている。

競合他社の中には、ZeroCaterのことを露骨にからかう企業も存在する。ZeroCaterとGoogleで検索すると、上位の検索結果の中にEatClubのサイトへのリンクがあり、そこには彼らの「ZeroCaterに似てるけど、もっと良い(Like ZeroCater but better)」という宣伝文句が記載されている。

EatClubは今日までに1650万ドルの資金を調達しており、それに比べるとZeroCaterの600万ドル弱という調達資金総額は(悪気がなくても)余裕がないように映る。

しかしSabetiによれば、ZeroCaterの強みは料理のバリエーションと配達時間にある。

「どれだけカッコいい機能がウェブサイト上にあろうが、ブランドが知られていようが、食べ物を時間通りに顧客に届けられなければ意味がありません。私たちは、スムーズなオペレーションを含め、顧客が素晴らしい食事体験が出来るよう、基本的な項目に徹底して取り組んできました。ZeroCaterの業績がそれを物語っています」とSabetiは話す。

ZeroCaterの売上は2015年8月時点で1億ドルを超えているものの、Sabetiはそれ以上の売上に関する詳細や、ポスト・マネー・バリュエーションを含むシリーズAの諸条件については明かさなかった。

現在ZeroCaterは約120名のフルタイム従業員を抱えており、サンフランシスコに本社を置いている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

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TechCrunch Japan

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