オンライン家計簿の「Zaim」が銀行口座アグリゲーション機能リリース、1146の金融機関に対応

オンライン家計簿の「Zaim」(ザイム)が今日、銀行口座の入出金記録やクレジットカードの利用履歴を自動取得するアカウントアグリゲーションサービスを開始した。家賃や光熱費などの銀行引き落としを利用する支払い項目やクレジットカードによる支払いを自動で家計簿に反映させたり、複数口座を合わせた残高金額を一目で確認できるようになる。

大手銀行、都市銀行、農協、信用金庫、クレジットカードなど1146の金融機関などに対応済みで、カテゴリの自動判定を行うほか、通常カタカナ表記となってしまう取引先情報を日本語変換する工夫なども加えているという。サービスの利用は無料。iOSとWebから利用できる。Androidも順次対応予定という。口座へのログイン情報をZaimに入力する必要があるが、現金の引き出しや他口座への振り込み時に必要となる暗証番号などの認証情報は不要で、この辺は先行するアグリゲーションサービス同様だ。

アカウントアグリゲーションは、マネーフォワードマネーツリーなどが先行サービスがある。

今回のアカウントアグリゲーションへの対応はZaimに寄せられた3万件を超えるユーザーからの要望の中から実現した機能だそうだ。Zaim創業者で代表取締役社長の閑歳孝子氏は、この機能を追加することに大きな迷いがあったという。「セキュリティをどう担保し、運用し続けていくのか。仕組みを知らない人には理解されづらい仕組みなので、そこをどう誤解がないように伝えていくのか」。課題は数多くあったものの、最終的には「どんなご利用者でも便利に、楽しく自分の家計を管理できるようにするには、サービスとしての懐の深さが必要だ」という判断で機能追加を決断したという。これまでサービスを運営してくる中で、提供側が想定しなかったような使い方をするユーザーがいたことなどから、「使い手自身が(サービスの使い方を)解釈して、自分が気持ちの良いように使いこなせる」ような懐の深いサービスを目指すのだという。

今のところZaimは実験的に広告配信を始めているものの、マネタイズよりもサービスの普及・改善に注力しているという。中長期的に見れば、家計簿サービスに限らず、モバイル決済やスマートデバイスによるレジソリューション、さらにはアドテクまで含めて、消費者の購買行動や決済データのマーケティング活用というのが大きな市場になりそうだが、こうした点についても閑歳氏は、「データのマーケティング利用についてはよく聞かれますし、お話もいただきますが、ユーザーに誤解や不安を与えるような方法は取りたくないため非常に慎重に考えています」と、あくまでもユーザー視点で慎重な姿勢を取っている。プライバシー懸念を考えれば慎重になるのも当然とは思うけど、POSデータ争奪戦は始まっているのだと思うね。


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TechCrunch Japan

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