オーシャンテックを育てるOcean Solutions Acceleratorが2021年から後期段階のスタートアップも対象に

Sustainable Ocean Alliance(SOA)の地球を愛する人びとが数年前に始めたアクセラレーターは、極めて初期的な段階の企業を対象にしていたが、2021年は事業を拡大して最初の資金調達ラウンドを完了した企業も受け入れる。実験的な試みとある程度実証された事業とのこのような混成は、このアクセラレーターの目下成長中のネットワークのメンバーを多様化するだろう。

アクセラレーターの共同創業者であるCraig Dudenhoeffer(クレイグ・デュデンホッファー)氏は、次のように語る。「2020年はパンデミックと、海の状態がこれまでで最も悪く対策の緊急性が増したため、Ocean Solutions Acceleratorの仕事もこれまでになく増えました。そして私たちにとってこれまで以上に明らかになったのは、オーシャンテック(海洋テクノロジー)の企業には強力なコミュニティのサポートとメンターシップ、そして事業推進のための稀有な機会に恵まれることが必要だということです。私たちはアクセラレータープログラムをこれまでの倍にすることに決め、2つの育成グループで21のイノベーターを支援ます」。

2020年のグループには、魚のロボットやケルプ由来の食品、人工珊瑚礁、海洋栽培による動物飼料など、興味深くて画期的とも思われる企業がいた。しかし2020年までの彼ら育成対象企業全員の共通点は、極めて初期段階であることだった。

プロトタイプを作って大きな問題に取り組み、成果を市場に出すことはスタート地点として重要だが、そこで終わりというスタートアップも多い。例外的にCoral Vitaのような企業はハリケーンやパンデミックなど度重なる災難にもめげず、資金を調達してスケールアップを目指した。

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しかし環境保全という分野はまだ多くのVCたちから過小評価されていて、彼らがこれはリスクを賭ける価値があると認めるまでは、まだ先が長い。問題に着目している投資家がほとんどいないし、自分の目でソリューションの可能性を至近距離で見たり、熱心で理想主義に燃える若き創業者たちと個人的な関係を築いているVCもあまりいない。しかし、私がアラスカで会った人たちは、そうではなかった

2021年初めて2グループとなる育成対象は、6月のクラスがプレシードの初期段階の企業、9月がシードやAラウンドを経て「強力なMVP」がある企業になる。どちらも応募は4月12日までで席は21ある。月曜日だから、忘れないように。

「2021年はアクセラレーター事業を拡大して2グループに分けたため、提供するコンテンツもよく練られていますし、支援策も対象の海洋が抱える重要な問題の解決に向けて、資金や技術確保などの必要性で彼らが今どんな段階にあるかという特性に合わせて調整しています」とデュデンホッファー氏はいう。

対象企業はまだ小規模で、アクセラレーターは比較的単純明快な事業だが、彼らが今いるこの分野は拡大しつつあり、投資家の信用も得つつある。バイデン政権になってから、気候変動や生態系の保護、代替エネルギー源などの施策が見直され予算配分も良くなっているため、関連業界のスタートアップやサービスにとっても状況が変わっている。2年前には無謀と見なされたアイデアが、まともに検討されている。幸運により、世界を救おうとしている起業家たちの帆にも、少しは風が当たるようになるだろう。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Sustainable Ocean Allianceアクセラレータープログラム

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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