オープンソースの機能管理ツールを構築するためオスロのUnleashが約17億円調達

ソフトウェアに新しい機能を加えていくときは、それが既存の機能を壊さないよう注意しなければならない。そのため、展開はゆっくりになりがちで、コード中にフィーチャーフラグ(機能フラグ)を置くなどして、新機能によって何が起きるのか確かめようとする。これは新機能の展開をコントロールする実証されている方法だが、管理のレベルが一段あがってしまう。そこで、オスロのUnleashの出番となる。

同社の共同創業者でCTOのIvar Østhus(イヴァル・オストフス)氏は、次のように説明する。「Unleashは機能管理のためのソリューションです。ユーザーをセグメントするルールを定義して、新しい機能を有効にする方法を完全にコントロールできるようにします」。彼によると、この方法であればより多くの実験ができるようになり、プロダクションのコードベースに、大きな問題を起こす何かが紛れ込むリスクを減らすことができる。

2014年にオストフス氏は、そのとき仕事をしていたFinnという企業で、この機能管理という問題に直面した。そこで彼は余暇の時間に、ソリューションの開発に取り組んだ。翌年、彼はUnleashをGitHub上のオープンソースでリリースし、その後数年間、エンジニアとして昼間の仕事をしながらそのプロジェクトを育てていった。

そして彼は、企業がそのツールにエンタープライズ機能をリクエストし始めていることに気づき、Unleashを企業化する可能性を見つけた。2019年にイヴァル氏と弟のEgil(エギル)氏は一緒に会社を作ることに決め、イヴァル氏が開発したオープンソースプロダクト上に商用化のレイヤーを作っていくことになった。

「2018年の終わり頃には、オープンソースの採用がとても活発になり、エンタープライズ的な機能を求める声も大きくなってきました。ある企業はメールで、自分でやるのは面倒なのでそっちでホストしてくれといってきました。その言葉に触発された私は、エギルと一緒に会社を興すことにしたのです」とオストフス氏はいう。

同社は最初の商用プロダクトであるUnleashのホステッドバージョンを2019年の春に立ち上げ、徐々に会社らしくなってきた。2人は昼間の仕事を辞めて、同社にフルタイムで関わるようになった。

CEOになったエギル氏は管理職や経営者の経験があり、2人の兄弟はいろいろな企業を訪ねて、ビジネスとしてのUnleashの売り込みを開始した。「毎日の時間の90%は顧客と話をして私たちの競合企業をよく理解し、またユーザーのニーズを理解することに費やされました」とエギル氏は語る。

今日、同社は純粋なオープンソースから徐々に離れてオープンコアモデルへ移行し、セキュリティのレイヤーを求める顧客には有料でシングルサインオンを提供するなどエンタープライズ向けの機能を充実している。

エギル氏によると、2人が同社を創業するときにはダイバーシティが重要な課題であり、彼らの中心的なKPIの1つだった。彼によるとそれはリーダーシップの課題でもあり、その責任は常に自分たちにある。取締役会への報告は月例ベースで行っており、採用候補者を抱えている者の視点で求職者について報告している。

「そこで、私たちが本当に重要だと判断したのは、候補者パイプラインの多様性について、毎月取締役会に報告することです。つまり候補者パイプラインが埋まるたびに、その数字と、その多様性の数字の内側か外側かを報告する必要があるのです」とエギル氏はいう。

同社の有料顧客は120社で、その約40%は米国とカナダの企業で、40%がEU、残りが世界各国となる。社員は16名だが年内に倍増する。

米国時間3月23日に発表した1400万ドル(約17億円)のシリーズAで、同社はビジネスとしての離陸できるだろう。今回の投資をリードしたのはSpark Capitalで、Frontline Venturesとfirstminute capital、Alliance Venture、そしてArkwright Xが参加している。

画像クレジット:AndreyPopov/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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