オープンソースプロダクトをより使いやすくするツール開発のGrafana Labsが26億円超を調達

オープンソースのデータ可視化・グラフ化ソフトウェアであるGrafana(グラファナ)の商用利用をサポートするGrafana Labsが、シリーズAで2400万ドル(約26億円)の巨額を調達した。Lightspeed Venture Partnersがラウンドをリードし、Lead Edge Capitalが参加した。

CEOで共同創業者のRaj Dutt(ラジ・ダット)氏によると、同社はオープンソースのGrafanaツールに商用のレイヤーを提供するスタートアップとしてスタートしたが、今ではオープンソースのモニタリングツールであるLokiなど、そのほかのプロジェクトもサポートしている。LokiはPrometheusに似ているが、Grafana Labsの自作ソフトウェアだ。

同社はこれらのサービスを動員してデータソースに接続し、データをモニタしている。ダット氏は「Grafanaは、データがどこにあってもそれらに接続する。独自のデータベースであっても、オンプレミスのデータベースであっても、あるいはクラウド上のデータベースでもだ。Grafanaが同時に接続できるデータソースは42種類以上ある」と説明する。

でも同社は、それ以上のものに成長した。同社によるとそのプロダクトセットは「さまざまなプロダクトを単一の提供物へと統一している。それは、世界初のユーザーが自由に編成できるオープンソースの観測プラットホームであり、Grafanaを主軸としてメトリックスやログ、トレースなどのデータを一元的に扱える」。

実は、モニタリングとロギングの伝統的なツールであるElasticやNew Relic、Splunkなども、今年はそんな一元的な方向へ進もうとしている。メトリックスやロギング、トレーシングなどを一体化したデータ分析や可視化のことを観測ないし観測性(Observability)という言葉で呼んでいる。

Grafana Labsはオープンソースプロジェクトの商用部門で、その上に構築した2つのプロダクトがある。まずGrafana Enterpriseにはエンタープライズにフォーカスしたデータコネクターと、強化された認証とセキュリティ、そしてオープンソースよりも充実したエンタープライズクラスのサポートがある。

GrafanaのSaaSバージョンもあり、それは完全な管理を伴い、オープンソースのダウンロードやインストール、管理、アップデート、パッチなどに伴う面倒がない。面倒はすべて月額料金でSaaS側が見てくれる。

ダット氏によると、最初の5年間では外部資金を400万ドルを導入しただけだが、社員数100人、顧客数500社にまで成長できた。彼の自慢はキャッシュフローが現状でとんとんであることだ。

そして近年Grafana Labsは、そろそろ大きな資金を得て成長を加速すべき段階だ、資金がなくてできなかったこともできる、と決意した。ダット氏は「オープンソースのコミュニティとそのマインドシェアにより、企業価値創成の善循環ができている。それは、持続可能なビジネスを築けた、ということだ。今後はその循環を加速していきたいので、思い切った資金調達を行なった」と語る。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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