オープン化、広告拡大、ポイント導入にカード発行——LINEが発表した新戦略

LINEが3月24日に開催したプライベートカンファレンス「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」。最後にMVNO事業参入というビッグニュースを発表したこともあって、そこに大きくフォーカスが当たることになった(実際質疑の多くがMVNO事業に関するものだった)。だが2時間半に渡るカンファレンスでは、それ以外にも数多くの発表があった。この記事ではMVNO事業以外の発表について紹介したい。

ビジネスプラットフォームをオープン化

これまでの企業向けの公式アカウントなどを提供してきたLINEだが、今後はオープン化を進める。その取り組みとして、「Official Web App」と呼ぶ外部連携の仕組みを提供する。

Official Web Appは、パートナー企業が自社サービスとLINEアカウントを連携させるというもの。LINEのプラットフォームを利用することで、サービスごとのアプリインストールや利用登録が必要なくなるほか、LINEを通じてのプッシュ通知なども可能だ。まずは一部企業に先行してアナウンスを行っており、「@cosme」「一休.com」「食べログ」「出前館」「リクナビ2018」「Goo-net」「アットホーム」「Oisix」など40社以上のサービスが参画することが決まっているという。提供は2016年夏頃を予定。料金については月額2万円のプランも用意することで利用の拡大を狙う。

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また大手企業に加えて中小企業向けの施策も強化する。LINEのビジネス向けアカウントである「LINE@」を(SME:Small and Medium-sized Enterprises、中小規模事業社)へ導入するための「SMEパートナーシッププログラム」を開始する。今夏をメドに「食べログ」「ホットペッパービューティー」「出前館」「HOME’S」「Goo-net」など14社と提携。各社のクライアントであるSMEに対してLINE@の利用を提案していく。また、4月にLINEのプロフィールページをリニューアル。クーポンやコマースの機能を導入する。

開発者向け施策は3つ。BLE(Bluetooth Low Energy)を利用したビーコンサービスの「LINE Beacon」の5月にリリース。スタートトゥデイとの取り組みが決まっている。またLINE@のメッセージをAPI経由で送受信可能にするAPIを夏頃に開放する(一部機能を無料で先行利用できる「BOT API トライアルアカウント」を2016年4月に公開)。また、LINE公式アカウントやLINE@アカウントの応答を行う「Chat AI Plugin」を外部サードパーティーとともに開発。年内にも提供する予定だ。

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広告配信も機能拡大

これまで一方通行、大規模一斉配信、大企業向け——と、マス広告にも近い印象のあったLINEの広告事業だが、今後は「レリバント」「パーソナル」「全ての企業向け」をキーワードにサービスを拡張するという。

フリークアウトから株式を取得して連結子会社としたM.T.Burnとともに、ユーザーの属性や興味関心をもとに最適化した運用型広告を6月より開始する。また、スタンプ制作・販売プラットフォームの「LINE Creators Market」で販売されているスタンプをキャンペーン等に活用する「Creators Sticker for Business」を2016年内に提供する予定だ。

決済事業ではJCBと連携、LINE Payカードを発行

さらに決済やポイントといった事業も本格化する。決済サービス「LINE Pay」の利用金額の2%を還元する独自ポイントサービスの「LINE ポイント」を開始。また、JCBと連携し、世界のJCB加盟店で利用できるプリペイドカード「LINE Pay カード」の発行を開始する。

またLINE Payのチャージ・決済提携先も拡大した。すでに連携済みのみずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行に加えて、4月以降、横浜銀行、滋賀銀行、伊予銀行、百五銀行、十六銀行との連携が行われる。そのほか、LINE Pay残高が一定額を下回ると自動的にチャージが行われるオートチャージ機能なども導入されている。

4種類のデザインのLINE Pay Card

4種類のデザインのLINE Payカード

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。