カスタマー・エクスペリエンス・スタートアップのSprinklrがSECにS-1を非公開申請

ニューヨークに拠点を置くカスタマーエクスペリエンスのスタートアップSprinklrは米国時間3月15日、IPO(株式公開)の可能性に先駆けて内容非公開のS-1を申請したと発表した。

「Sprinklr社は、本日、米国証券取引委員会(SEC)に対し、同社の普通株式の新規公開に関連して、Form S-1による登録届出書の草案を非公開にて申請したことを発表しました」と同社は声明で述べている。

具体的な株式数と価格帯については、SECから株式公開の承認を得た後で決定するとしている。

Sprinklrは2020年、27億ドル(約2900億円)の評価額で2億ドル(約218億4000万円)を調達した。これは同社にとって4年ぶりの資金調達だった。当時、創業者兼CEOのRagy Thomas(レイジー・トーマス)氏は、2020年には4億ドル(約436億7000万円円)のARR(年間経常収益)を見込んでいると予測していたが、これは上場企業として出発するには十分な数字だ。

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トーマス氏はまた、Sprinklrの次の資金調達はIPOになるだろうとも語っており、その言葉どおりの結果となっている。2億ドルの資金調達の際に同氏は「私はこの事業の道筋を公表してきましたが、次の資金調達のマイルストーンはIPOになります。新型コロナウイルスのパンデミック時は1年ほど先の話でしたが、タイミングが早まったようです」と語っている。

SprinklrはカスタマーエクスペリエンスマネジメントをCRMが自然な延長線上にあるものと考えており、その巨大な市場は1000億ドル(約10兆9187億円)の価値を持つ可能性があるとトーマス氏は述べている。しかし同氏は、Salesforce(セールスフォース)やAdobe(アドビ)といった大規模な競合企業との戦いであることも認めており、それは2020年の資金調達の理由にもなっている。

Sprinklrは2009年にソーシャルメディアのリスニングに焦点を当てて設立されたが、2017年にソーシャル分野の事業にマーケティング、広告、リサーチ、カスタマー、eコマースを加えたことで、カスタマーエクスペリエンスへの取り組みを強化すると発表した。

Crunchbaseのデータによると、Sprinklrはこれまでに5億8500万ドル(約638億7000万円)を調達しており、ベースプラットフォームに機能を追加しながら途中で11社を買収するなど、買収意欲も非常に意欲的だ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Sprinklr新規上場カスタマーエクスペリエンスCRM

画像クレジット:Bloomberg/ Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:塚本直樹 / Twitter

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