キャッシュカード、暗証番号なしでATMが使える――Liquidの生体認証をイオン銀行が導入

銀行ATMを利用するには通常キャッシュカードと暗証番号の入力が必須だ。店頭でキャッシュカードの再発行などの手続きを行う場合は、さらに印鑑や本人確認書類なども必要となる。Liquidとイオン銀行が目指すのは、「手ぶら」でもそうした手続きや銀行ATMの利用ができる未来だ。

本日、Liquidはイオンフィナンシャルサービスの子会社、株式会社イオン銀行と「指紋+静脈」の2要素生体認証による新システムの銀行取引を開始すると発表した。

これまでにも指紋認証するタイプのATMはあった。だがそれらは、キャッシュカードと暗証番号の入力の代替ではなく、さらにセキュリティーを増すための手段だった。

今回のイオン銀行の新システムでは、あらかじめ指紋を登録しておくことで、ATMでの現金の引き出しや入金、店頭での住所変更やカード再発行などの手続きをキャッシュカード、印鑑、本人確認書類を提示することなく「手ぶら」で利用できるようになる。

全店導入に先駆け11月27日より、イオン銀行神田店(東京)、イオンモール津田沼店(千葉)、イオンモールナゴヤドーム前店(愛知)、イオンモール大高店(愛知)、イオンモール各務原店(岐阜)の5拠点の店頭とイオン銀行ATMに導入する。2018年度上期には、全店店頭でこの「手ぶら」取引を利用できるようにしたい考えだ。

Liquidは久田康弘氏が2013年12月設立し、画像解析やビックデータ解析を用いた生体認証技術を開発している。オフィスドアやマンションのドアに設置できる指紋スキャナー「LIQUID Key」や指紋決済サービス「LIQUID Pay」などのサービスを展開。

2016年3月からイオン銀行との生体認証による銀行取引の実証実験を開始していた。

銀行取引で気になるのは、やはりセキュリティー面だが、それについてLiquidは本日のプレスリリースで次のようにコメントしている。

本サービスは、当社が開発した大規模高速認証システムを使用するものです。また、このシステムを導入した専用サーバーを厳重に管理されたイオン銀行のデータセンター内に設置するとともに、指紋および静脈情報を暗号化し復元不可能な状態で保存することで、高いセキュリティを実現します。

 

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TechCrunch Japan

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