ギグワーカーに柔軟な保険を提供するThimbleが約24億円を調達

中小企業やフリーランサーが短期でも加入できる柔軟設計の保険を提供するThimble(シンブル)は、IACがリードするシリーズAラウンドで2200万ドル(約24億円)を調達したことを発表した。

以前の社名はVerifly(ベリファイ)だった。本業だったドローンパイロット向け保険にちなんだ名前だ。創業者兼CEOであるJay Bregman(ジェイ・ブレグマン)氏は、同社が顧客の需要に応えてさまざまなビジネスに新しい保険を提供してきたと語った。広くなった会社のビジョンを反映するため社名を変更した。なお同氏は、以前ライドシェアリングの会社Hailoを創業したことがある。

Thimbleの顧客はギグエコノミーの労働者(ギグワーカー)だとまとめてしまうのは簡単だが、ブレグマン氏はUberを運転したりPostmatesで配達する人たちだけが対象ではないと指摘する。同社の顧客のうち自身をギグワーカーだと認識しているのは4%にすぎないとのことだ。

「ギグエコノミーと呼ばれる大きなマーケットがある。その担い手であるギグワーカーたちは自身が決めた条件で柔軟な働き方をしている」とブレグマン氏は言う。

Thimbleは100を超える職業の顧客に賠償責任補償を提供しているという。便利屋、造園業者、DJ、ミュージシャン、美容師、犬の散歩代行などの顧客もいる。保険は、時間、日、週、月、年単位でThimbleのウェブサイトまたはアプリから直接加入できる。

「細切れの仕事を繰り返し請け負うようになると、年単位の保険に加入する意味がなくなる」とブレグマン氏は言う。例として同氏は、Thimbleの顧客の75%が以前は保険に加入していなかったこと、50%が1日未満の保険に加入していることを指摘する。同社は年末までに10万口の保険販売を見込む。

Thimbleの保険はMarkelが引き受ける。ブレグマン氏が「インフラと人材」が優れていると称賛した保険会社だ。

同氏は「我々はこれまでプロダクト自体の所有者であって、基本的に保険代理店と協力してプロダクトを市場に投入してきた。そのようなやり方は今後プロダクトが成熟していくと変わるかもしれない」と述べた。

Thimbleは、これまでに48州で保険販売に関する規制当局の承認を受けた。ギグワーカーが被雇用者なのかをめぐる広範な政治的議論が同社のビジネスに影響を与えるかと尋ねられたブレグマン氏は、同社の顧客の大多数は自身がギグワーカーであるとは考えていないと改めて指摘した。

「唯一恐れているのは、長期のギグワーカーに特有の問題を議論しているのに、関連する法律が意図せず正当なフリーランサーを心配させたり網にかける可能性があることだ」とブレグマン氏は言う。

IACの最高戦略責任者であるMark Stein(マーク・スタイン)氏は今回の投資に関して、デジタルメディアホールディング会社である同社がアーリーステージの会社へのマイノリティ出資をこれまであまり行ってこなかったことを認めた。だが同氏は今回の投資を「種をまく」ようなものだと語った。

「IACが考えているのは次の2つだ。どうすれば将来の成長の種をまくことができるのか?次のANGI HomeservicesやMatch Groupになるのはどういった会社か? 」。スタイン氏は、将来のスピンオフが取り沙汰されているIAC所有の2つのビジネスを引き合いに出し「その2つのように見込みが高く大きな市場機会を見出す必要がある。狙いは将来業界を変える大企業に育てることだ」と述べた。

既存株主であるSlow Ventures、AXA Venture Partners、Open Oceanもラウンドに参加し、Thimbleのこれまでの調達資金は2900万ドル(約32億円)となった。

画像クレジット:Thimble

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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