クラウドファウンドリーの今後

今月、Google在籍中に Kubernetes(クバネティス)プロジェクトを共同で立ち上げ、現在VMWare(自身のスタートアップ、Heptioを同社に売却した)のR&D(研究開発)担当副社長を務める Craig McLuckie(クレイグ・マクラッキー)氏が、非営利団体、Cloud Foundry Foundation(クラウド・ファウンドリー・ファウンデーション)の理事会会長に選出された。

同氏は2020年4月から理事長を務めていたVMWareのPaul Fazzone(ポール・ファゾーン)氏を引き継ぐ。2020年以来、Cloud Foundry Foundationではもう1つ幹部の変更があり、Chip Childers(チップ・チルダーズ)氏が8月に辞任し、同氏が務めていたエグゼクティブ・ディレクターの後任は指名されなかった。これで同団体は、新たに結成された技術検討委員会と理事会に重点を置くことになった。すなわち、現在マクラッキー氏は、かつてのエグゼクティブ・ディレクターの役割に最も近い立場
にいることになる。

マクラッキー氏はCNCF(クラウド・ネイティブ・コンピューティング・ファウンデーション)を設立し、そこにKubernetesを寄贈した中心人物であるにも関わらず、Cloud Foundryエコシステム内での活動は必ずしも積極的ではなかった。ただし、どちらのファウンデーションもLinux Foundation(リナックス・ファウンデーション)の傘下にあるため、両団体には重なる部分も少なくない。加えて、近年のCloud Foundryの動きは、中心基盤をKubernetesに移すことと密接に関連しており、Cloud Foundryエコシステムに由来するbuildpacks(ビルドパックス)の考え方がKubernetesエコシステムに影響を与え始めている。異なるコミュニティの間には多くの交流がある。そしてVMWareがPivotal(ピポタル)を買収したことで、グループ間に多くのつながりができた。

マクラッキー氏が私に話したところによると、約6ヶ月前、同氏はCloud Foundryエコシステムでの自身の役割について深く考えるようになり、行動を起こすきっかけになった。

「VMwareがPivotalを買収したとき、私はCloud Foundryエコシステムの中に作られてきたものをしっかりと見直す機会を得ました。そこには多くのクラウド・ネイティブのパターンを生み出すための重要な技術がありました」と同氏は語った。「たとえばKuberetes以前のテクノロジーがあり、アプリケーションの構築、編成、展開に関わる非常に具体的な考えがありました。そして、Pivotalの買収を通じて1つのコミュニティと密接に関われるようになったことが数多くのクラウド・ネイティブ・パターンを生み出す素晴らしい機会となり、一種のコンテナ・パッケージ配信のアイデアを採用したことで、デベロッパーが自身のIDE(統合開発環境)を非常によくコントロールされた生産環境へと変えることを可能にする抽象概念が生まれました」

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現在重要なのは、この2つのテクノロジーを合体させることだと彼は言った。Cloud Foundryのデベロッパー体験を成功させたものは何か、Kubernetesがインフラストラクチャーの抽象概念として何を提供できるか、を見極めることだ。そう考えると、同財団から生まれる最初のプロジェクトの1つが、2022年第1四半期に公開されるKubernetes上の新たなCloud Foundry体験のベータ版であることは驚くに当たらないだろう。いくつかのメーカーがそれぞれの取組みをしてきたが、この新プロジェクトによってVMware、SAP(サップ)、IBM(アイ・ビー・エム)などいくつかの会社が新たな道に向かって集結した。

「つまるところ、毎晩Hacker Newsを熟読し、あらゆるテクノロジーに手を染めているデベロッパーばかりではない、ということです」とマクラッキー氏は言った。「家に帰ってビールを飲んでYouTubeを見たい、という人もたくさんいます。Cloud Foundryは、非常にシンプルですぐに使える体験をたくさん生み出し、アプリケーションを稼働させることに関わる頭痛の多くを緩和します。今回私たちは、彼らがその体験を維持しながら、マルチクラウド環境の標準になりつつある抽象モデルを提供できるようにしました」

しかし、こうした個々のプロジェクトよりも大切なのは、組織が劇的に変化しようとしていることだ。1年前メーカー主導のグループとして始まったものが、デベロッパー一人一人がエコシステムに貢献しやすく、かつてオープンソース・プロジェクトに参加するために必要だった儀式や式典を通過しなくてもよい組織になった。

「これまでは、Cloud Foundryのテクノロジー基盤に関連する特定のプロダクトを開発する組織の商業的関心を推進するための組織でした。そしてどこの財団でもそうであるように、メーカー間には一種の緊張関係が常にありました」と彼は説明した。しかし今後同財団は、3つのことに焦点を当てる。 貢献者のためのコミュニティーをつくる。メーカーのために働く人もそうでない人も対象だ。オープンソース・バージョンのCloud Foundryを利用しているエンドユーザーのサポートを強化する。そして、エコシステムと連携して、メーカーが団結し、協力してCloud Foundryエコシステムから生まれた数多くのクラウド・ネイティブ・テクノロジー(たとえばBuildpack)のコンセプト化や革新を行うことを支援する。

「この組織は、テクノロジーの進化に目を向け、それを消費する組織と、オープンでフェアな方法でそこに貢献している人々、両方に役立つ新しい時代を象徴しています」とマクラッキー氏は言った。

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画像クレジット:anucha sirivisansuwan / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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