クラウド上の余剰容量を活用する、分散ストレージサービス運営のStorjがエンタープライズに進出

ローコストの分散クラウドストレージを開発したStorjは米国時間3月19日、Tardigrade Decentralized Cloud Storage Serviceと呼ばれるニューバージョンを発表した。

この新しいサービスは、エンタープライズ向けのサービス品質保証(Service Level Agreement、SLA)として、99.9999999%のファイル耐久性と99.95%の可用性を約束しており、Amazon S3と同等と同社は主張している。

同社は、世界中の余剰ストレージ容量を利用するという一風変わったシステムでファイルを安全に保存する。いわば彼らは、Airbnbが空き部屋に対してやってることをストレージで行っており、企業や人々の余剰容量を売って売上を上げている。

ファイルを保存する方法として危険ではないかとの声も当然あるが、しかしStorjの執行会長Ben Golub(ベン・ゴラブ)氏によると「我が社はデータをネットワーク上の複数のドライブに分散する方法を考案したことで、1つのファイルが完全に露出することはない」という。

「これを実現するためにやっていることは、まず第一にデータは顧客が暗号化してからアップロードする。暗号の鍵は顧客が持っているから、他の誰もデータを解読できない。そして次に、ファイルの各部分を80分割し、その中の任意の30片を使って再構成できる。80片の一つひとつはそれぞれネットワーク上の異なるドライブへ行く」とゴラブは説明する。

そこで、仮にハッカーが暗号化されているデータの一片を何らかの方法で入手できたとしても、さらに29片が必要であり、また暗号の鍵がなければファイルは再現できない。「ストレージのノードの提供者にとってもそれは同じであり、彼らが目にするものは単なるゴミであり、ファイルのごく一部にすぎない。だから悪者があなたのファイルを狙っても、彼はたった一つのファイルを入手するために30の異なるネットワークを侵犯しなければならない。もしそんなことができたとしても、暗号鍵がなければそれらはゴミだ」と彼は言う。

余剰容量を買うことによって、Storjは通常のクラウドストレージよりもずっと安くストレージを提供できる。ゴラブ氏によると、同社の利用料金はAmazon s3とその互換ストレージの料金の3分の2から2分の1ぐらいだ。

2014年にローンチした同社には現在、2万のユーザーと10万の分散ノードがある。しかし、その独特なクラウドストレージのエンタープライズバージョンを立ち上げるのは、今回が初めてだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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