クラウド医薬品管理サービス「9lione」のβ版運用開始、すでに130店舗超が利用中

9lione(クリオネ)は4月10日、クラウド医薬品管理「9lione」のβ版サービスを開始した。同サービスは、最終的には破棄されてしまう医薬品の不良在庫、いわゆる「院内残薬」の問題を解決するサービス。

同社によると、現在でも2000品目超の医薬品を手書きもしくはエクセルで管理している医療機関が多く、かなりの労力がかかるうえ消費予測もできないことから、過剰な発注を繰り返しているとのこと。その結果、廃棄されてしまう院内残薬が生まれるそうだ。そして、その損失は実に7700億円とのこと。

9lioneはこの問題に着目。人工知能やOCR(光学文字認識)などを活用して、調剤薬局やクリニック、歯科医院、動物病院など、さまざまな医療機関を対象とした医薬品のクラウド管理を実現し、余剰在庫の削減や業務効率を高めるという。

具体的には、処方せんをiPadなどのタブレットで撮影すると、OCRによって情報を読み取り、医薬品の在庫一覧を自動作成・更新できる。QRコードだけでなく、手書きの処方箋にも対応しているのが特徴だ。

従来は専用のバーコードリーダーが必要だった、薬の箱などに記載されているGS-1コードもタブレットやスマートフォンで読み取れる。しかも、薬価が改定された場合は登録済みの薬の価格も自動アップデートされる。データが蓄積されていくと、どの薬の利用頻度が高いのか、後発薬(ジェネリック薬)があるのかなどの情報を提供してくれるので、薬剤師の記憶や勘に頼る必要がなくなる。

さらに、近隣薬局との貸借や売買の管理も可能で、在庫データとも連携できる。今後は、9lione導入店舗同士での在庫データの共有機能を実装予定で、貸し借りや売買の連絡もシステム上で済ませられるようになる。

9lioneは、同社代表取締役の廣田雄将氏が統括事務局長として病院に勤務していた際に、非効率な管理による院内残薬の問題に直面したことから、2018年8月に創業したスタートアップ。

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TechCrunch Japan

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