クラシファイドサービス「メルカリ アッテ」、招待制を廃止して本格稼働

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先月突然App Storeに現れて僕らを驚かせたCraigslistライクなクラシファイドサービス(売ります・買います掲示板のような三行広告が並ぶサービスだ)「メルカリ アッテ」がいよいよ本格的にサービスを展開する。メルカリは3月17日にメルカリ アッテのサービスの招待制を廃止。誰もが利用できるように仕様を変更した。

メルカリ アッテは無料で利用できるクラシファイドサービス。アプリ(現在iOS版のみ。Android版も今後提供予定)をダウンロードし、メールアドレスとユーザー名を設定すれば、すぐにサービスを利用できる。インターフェースはメルカリに似ており、写真と商品、価格の一覧がフィードとして流れ、気に入ったアイテムに「いいね(ハートマーク)」を付けたり、コメントをつけたり、購入ならぬ「応募」をすることができる。投稿のカテゴリは「あげます・売ります」「ください・買います」「貸して・教えて・助けて」「貸します・教えます・助けます」「仲間募集・イベント」「求人」「賃貸・ルームシェア」の7つ。

特徴的なのは出品するユーザーの所在エリアがざっくりと表示されること。アッテでは手渡しでの商品の譲渡・売買を推奨しているためにこのような仕様になっているようだ。出品されるアイテムも「徒歩圏内」「自転車圏内」「バス圏内」という範囲で検索できるようになっている。

このサービス、App Store上ではメルカリのアカウントで配信されているが、2015年9月に立ち上がった同社の100%子会社であるソウゾウが開発・運営を行っている。ソウゾウ代表取締役である松本龍祐氏は、コミュニティファクトリーの創業者で同社をヤフーに売却した後に同社のモバイル部門に注力。その後、新規事業を立ち上げるためメルカリに参画した人物だ。

ソウゾウ代表取締役社長の松本龍祐氏

ソウゾウ代表取締役社長の松本龍祐氏

「メルカリの“次”を何にするかという難題をもらった」——メルカリ参画当時を振り返って松本氏はこう語る。

会社としてはCtoCやシェアリングエコノミーという文化にはこだわりたい。そう考える中で「TaskRabbit」を代表とするようなサービスCtoCを考えたが、メルカリも特化型ではなく「全方位」のサービスだ。そこで幅広いカテゴリをカバーする「アッテ」の原型が生まれた。

ドリコムが提供する「Clip」の記事でも書いたけれども、この領域はまだWeb1.0…どころか下手すると0.5の世界。そこで米国でも打倒Craigslistを掲げるサービスは続々登場しているそうだ。松本氏率いるソウゾウでは、「チャット形式のUI」でやりとりできるサービスとしてクラシファイドサービスの再構築を目指すとしている。

アッテの提供に先立ち、メルカリとソウゾウでは共通IDを開発。すでにメルカリのIDを持っていれば、アドレス登録だけでログインできるようにした。今後メルカリからの送客などでユーザー数の拡大を狙う。

メルカリからの送客と聞くと、ユーザーを食い合うのではないかという疑問も生まれる。松本氏は「社内でそんな議論はあった」としつつ、「だが市場は大きいので、取れるならば取っていくほうが早いと考えた。後は仕様的に近所(遠くても「バス圏内」だ)の出品しか見えないようにしている。競合するとしたら、『港区内の住人同士の売ります・買います』というものくらい」と考えているそうだ。

また、基本は「会って、手渡し」という世界観を目指しており、決済システムを用意する予定は直近ではないようだ。そうなると、売ります・買いますという相手の信頼性が気になるところだが、「メルカリでの評価情報を始めとして、信頼性をグループでどう作っていくかは課題。カスタマーサポートもメルカリチームと連携してやっていく.CtoCは信頼できるかが大事だと考えている」(松本氏)としている。

マネタイズについては当面は検討せず、まずはサービスの拡大に努める。「数百万ダウンロードを実現しないとプラットフォームにはならないので、まずは拡大に注力する。将来的には掲載順位課金などもできると思うが、アクティブなサービスになってから。メルカリも数百万ユーザーになってからマネタイズを始めた。遅くはない」(松本氏)

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TechCrunch Japan

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