クリエイターが食べていくためのコミュニティ立ち上げと成長の場を提供するMighty Networkが約54億円調達

創設者およびCEOのジーナ・ビアンチニ氏(画像クレジット:Mighty Networks)

クリエイターやブランドにコミュニティの立ち上げと成長の場を提供するプラットフォームMighty Networks(マイティー・ネットワークス)は、Owl Venturesが主導するシリーズB投資ラウンドで5000万ドル(約54億円)を調達した。

このラウンドにはZiff Capital Partnersと LionTree Partnersも加わり、以前からの投資者であるIntel Capital、Marie Forleo(マリー・フォーレオ)氏、Gretchen Rubin(グレッチェン・ルービン)氏、Dan Rosensweig(ダン・ローゼンズヴァイク)氏、Reid Hoffman(リード・ギャレット・ホフマン)氏、BBG Ventures、Lucas Venture Groupも参加している。この投資により、パロアルトを拠点とするMighty Networksの2017年創設からの総調達額は、6700万ドル(約72億5000万円)となった。

Mighty Networksを、Tim Herby(ティム・ハービー)氏とThomas Aaron(トーマス・アーロン)氏とともに創設したCEOのGina Bianchini(ジーナ・ビアンチニ)氏は、 コミュニティ構築のための育成環境には前からよく通じていた。以前、Ning(ニング)を共同創設しCEOを務めていたビアンチニ氏は、3年間でNingで構築されるネットワークを300万件に拡大し、全世界で1億人のユーザーを擁するまでに成長させた。

Mighty Networksでビアンチニ氏は、会員制コミュニティ、イベント、ライブオンライン学習を基礎とする「クリエイター中流階級」の構築を目指す。

「基本的に私たちのプラットフォームでは、オンラインショップを開設するようにコミュニティを立ち上げることができます」と彼女はTechCrunchに話した。「つまり、Spotify(スポティファイ)が電子商取引に対して行っているように、私たちはコンテンツだけでなく、何かおもしろいことや重要なことも同時にマスターできるコミュニティを中心としたデジタルサブスクリプションとデジタル決済を行っているのです」。

同社の主力製品であるThe Business Plan(ザ・ビジネス・プラン)は、デジタルサブスクリプションを簡単に立ち上げられる方法を新米クリエイターに提供するものだとビアンチニ氏は話す。すでに確立されているブランド、団体、成功しているクリエイターは、同社のMighty Pro(マイティー・プロ)プランが使える。ここでは、独自ブランドのiOS、iPad、Androidアプリで、Mighty Networksが提供するあらゆるサービスが利用可能になる。

パンデミックはこの事業の追い風になった。おかげで2020年はライブイベントも立ち上げた。

「私たちはヨガスタジオ、企業幹部のスピーチ教室、コンサルティングなど、数多くの事業にオンライン上ですばやく行動するための手助けができました。世界が戻りつつある今、ユーザーは、プラットフォームに組み込まれたさまざまな機能を使って、身近なメンバー、イベント、グループの発掘、さらに、ウェブだけでなくモバイルアプリを通じてあらゆるものの制作が可能になります」とビアンチニ氏はいう。

同スタートアップのゴールの中には、クリエイターとして成功するために大量のフォロワー(たとえばTikTokで100万人とか)を集める必要はないこと人々に知らしめるというものがある。1人あたり年間1000ドル(約10万8000円)のサブスクリプション料を集めるクリエイターの場合、30人の会員がいれば年間3万ドル(約325万円)になる。大儲けとは言えないが、相当な金額ではある。それが、同社が構築を目指す「クリエイター中流階級」というわけだ。

Mighty Networksには、有料で利用しているクリエイター、ブランド、コーチが現在1万人いる。会員の中には、著名なYouTubeスターのAdriene Mishler(アドリーン・ミッシュラー)、Xprize(エックスプライズ)、シンギュラリティ大学創設者Peter Diamandis(ピーター・ディアマンディス)、作家のLuvvie Ajayi Jones(ルービー・エイジェイ・ジョーンズ)、コメディアンのAmanda Seales(アマンダ・シールズ)、Girlboss(ガールボス)の創設者Sophia Amoruso(ソフィア・アモルーソ)、 そしてブランドでは、 TED(テッド)や健康管理プラットフォームMINDBODY(マインドボディー)などが名を連ねる。

「コンテンツのみではクリエイター経済は崩壊します」とビアンチニ氏。「活発なクリエイターのムーブメントは、コンテンツの作家が大手テック企業のプラットフォームからオーディエンスを借りるような、身を削る不公正な力学からは決して生まれません。そこでは、クリエイターはコンテンツを絶え間なく制作し続けるよう強要され、仮に報酬があったとしてもほんの小銭程度という世界です。クリエイターは、自分自身のコミュニティをインターネット上に持つべきです。そこでメンバー同士が集い、成果を上げて、改革が推進されます」。

Owl Venturesの専務取締役Amit Patel(エイミット・パテル)氏は、直接出会う以前から、 Mighty Networksには社として感銘を受けていたという。

「この業界で、彼らほど誠実で情熱的な信念を持つ企業はありません。Mighty Networksでクリエイターたちが有料会員制コミュニティを立ち上げ、たった30人の会員を相手にオンライン学習を提供している様子を初めて見たとき、そんなクリエイター中流階級の規模を100万人レベルに拡大する手助けをしたいと痛感しました」とパテル氏は声明で述べている。

同社は今回調達した資金を、数々のメディアタイプ、決済方式、新規市場への拡大に向けた製品開発にあてる予定だ。

2021年4月初め、オンラインクリエイターやメディア企業の収益化と顧客データ管理を支援するニューヨークのスタートアップPico(ピコ)が、プラットフォームのアップグレード版をローンチし、650万ドル(約7億円)の新たな資金調達を発表した。基本的に同社は、クリエイター市場のためのオペレーティングシステムと思われるものを開発している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Mighty Networks資金調達クリエイターオンライン学習プラットフォームコミュニティ

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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