クリエイターと有料会員を結びつけビジネス構築をサポートするCircleが4.3億円調達

Clubhouseが注目を集めているが、個人で利用できる動画やオーディオのストリーミングプラットフォームの普及により、意欲的なユーザーはこれまでよるはるかに簡単にオーディエンスにリーチできるようになった。これによりクリエイターの活動がここ数年で爆発的に増加している。しかしクリエイター活動が持続可能なビジネスにするための鍵はなんといっても活動の規模による。十分な数の加入者を獲得すれば趣味やサイドビジネスとして始めた配信でも、あっという間にフルタイムの事業にできる可能性が十分ある。

Circleは約1年前、2020年1月にニューヨークを拠点として設立されたスタートアップで、クリエイターと有料サブスクライバーを結びつけ、できるかぎり簡単にビジネス構築ができるよう手助けする。2020年8月には150万ドル(約1億6000万円)のシード資金の調達に成功している。このときTechCrunchではCircleを取材してファウンダーのDNAがオンライン学習コースのTeachableに発していることを知った。以後、同社は非常に強力な初期段階の成長を示している。

同社は2021年1月に100万ドル(約1億500万円)以上の年間経常収益を達成した。現在の有料ユーザーは1000人以上で2000人に近づいている。同社によればエンゲージメントも急速に増加しており、DAU(1日あたりのアクティブユーザー)とMAU(1カ月あたりのアクティブユーザー)の双方で毎月40〜50%の成長を続けている。2021年1月にはiOSアプリをベータ版を終了し製品版をリリースしている。

共同ファウンダーでCEOのSid Yadav(シド・ヤダヴ)氏は、「我々はクリエイター運動、コミュニティ運動が活発化する適切なタイミングをうまくとらえました」と述べている。スタートアップの有料ユーザーは多くのYouTuberをはじめとして、学習コースのクリエイター、Twitchのストリーマー、Patreonのユーザーなどを中心としている。ヤダヴ氏は「プラットフォームのコミュニティの60%が個人クリエイター」と推定している。しかし、多くのブランドも興味を示し始めているという。

こうした有望な情報はすぐにベンチャーキャピタルの関心を集めることとなった。同社は4000万ドル(約42億3000万円)超の評価額で400万ドル(約4億2300万円)のシードラウンドを2020年末に完了したことを公式に発表した。先にプレシードラウンドをリードしたNotation Capitalが今回のラウンドもリードした。ただしNotation Capitalの出資額は4分の1だったという。

Circleのチームは世界各地からの20人に成長した(画像クレジット:Circle)

プレシードの投資の大きな部分はプラットフォームを利用している多数の起業家、クリエイターに割当られた。「もちろん一流企業から多数のオファーを受けましたが、我々はクリエイター向けプラットフォームであり、可能な限りこうしたユーザー自身に出資のチャンスを割り当てることが理に適っているので」とヤダヴ氏は述べている。同社によればラウンドの大部分はプラットフォームを利用しているエンジェル投資家とコミュニティビルダーに割り振られた。これにはAnne-Laure Le Cunff(アン-ローレ・ル・クンフ)氏、David Perell(デビッドペレル)氏、Tiago Forte(ティアゴ・フォルテ)氏、Nat Eliason(ナット・エリアソン)氏が含まれている。

会社が発展段階の早期にある点を考えると、プロダクト開発がなんといっても最優先事項だ。「私たちのアプローチは裁縫的です」とヤダヴ氏は述べた。Circleのコミュニティは「部品」を縫い合わせるページをレイアウトする。Circleサークルの主なモードは、コミュニティのメンバーがSpaceという場所で、お互いにトピックについて話し合うことができるスペースを介すことができるというものだ。Circleで構築されたコミュニティは、独自のドメインを利用できホワイトラベルとしてサードパーティが収益化できる。

Circleのコミュニティプラットフォームを利用することで、クリエイターはコンテンツを公開し、コミュニティに参加できる(画像クレジット:Circle)

Circleの最終的な目標は、ニュースレターやポッドキャストの公開から、動画ストリーミング、イベントチケット販売、商品通販、イベントカレンダーの設定まで、クリエイターがユーザーのニーズを満たすために必要なツールをすべて1つに統合することだ。しかもどのレイヤーであっても支払サービスができる。もちろん多くの機能は未実装で今後開発していかねばならない。しかも、ヤダヴ氏のチームはコア機能の大幅に拡大する野心も抱いている。

Circleのチームは現在20名。メンバーはヨーロッパ、インド、オーストラリア、および米国にいる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Circle資金調達クリエイター

画像クレジット:hobo_018 / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:滑川海彦@Facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

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