クリエイターの収益化を可能にする「リンクインバイオ」ホームページビルダーのBeaconsが6.5億円調達

モバイル用ランディングページビルダーを提供するBeacons(ビーコンズ)が、600万ドル(約6億5000万円)のシードラウンドを実施した。同社はクリエイターが自分のソーシャルメディアのプロフィール欄を通して収益を上げられるようにするというビジョンを提唱している。Neal Jean(ニール・ジーン)氏、Jesse Zhang(ジェシー・ゾン)氏、Greg Luppescu(グレッグ・ルペスク)氏、David Zeng(デビッド・ゼン)氏が共同で創業したこの会社は、ソーシャルメディアを利用する人が自分のフォロワーに表示することができる、モバイルに最適化された単一のリンクハブを提供する。

競合他社のLinktree(リンクツリー)同様に、Beaconsは、TikTok、Instagram、Twitterのプロフィール欄から他のサイトにリンクする方法を提供し、同時にフォロワーに対して寄付やアフィリエイトリンクなどを紹介する。こうしたリンクインバイオ(プロフィール欄のリンク)分野で競う企業には、他に Shorby(ショービー)Milkshake(ミルクシェイク)Tap.bio(タップバイオ)Link in Profile(リンクインプロフィール)bio.fm(バイオfm)、そしてCampsite(キャンプサイト)などがある。

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Beaconsは、Y Combinatorの2019年夏クラスに参加し、2020年9月にプライベートベータ版を開始した。Andreessen Horowitzがシードラウンドを主導し、Atelier VenturesThe ChainsmokersのMantis Fund、Night Media Ventures、ブラジルのeスポーツグループであるLOUDggが参加している。

Beaconsは、今回の600万ドルのシードラウンドをエンジェルラウンドで調達していた60万ドル(約6500万円)に加えることで、同社はエンジニアやデザイナーを採用し、初めて創業を経験した4人の小さなチームを成長させることができる。

Beaconsの共同創業者でCEOのニール・ジーン氏は、TechCrunchの取材に対して「当社がLinktreeと大きく異なる点は、クリエイターが自分のページを無料でカスタマイズでき、無料プランでもより多くのオプションを提供していることです」と語った。

「【略】クリエイターのみなさんは、自分のウェブサイトの見栄えをとても気にしていますので、このやり方はクリエイターのみなさんが望む機能を提供して、私たちの市場でのシェアを拡大するための良い方法だと思っています」。

ソーシャルメディア企業たちは、クリエイターを自社のプラットフォームや今後の収益化スキームに囲い込むため、特に個々のコンテンツへの埋め込みリンクにはあまり熱心に対応していない。また、ユーザーのプロフィールに掲載できるURLを1つに限定しているところも多く、クリエイターは1つのリンクの価値をを最大限に高める必要がある。当然ながらBeaconsは、多くのソーシャルプラットフォームの制限的なデザインが、クリエイターがコンテンツから簡単かつ柔軟に収益を上げる可能性を妨げていると主張している。

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ジーン氏は「まず手始めに、クリエイターが使えるさまざまな機能を開発していますが、長期的には、多くの人がその上で構築することができるプラットフォームやエコシステムにしていくことが、よりスケーラブルな方法だと考えています」という。

「現在は、コンテンツ制作者にとってのWix(ウィックス)やSquarespace(スクエアスペース)のような存在だと思いますが、将来的には、クリエイターにとってのShopify(ショッピファイ)のような存在になりたいと考えています」。

Beacons上での構築

Beaconsを使う際に、ユーザーは無料とプレミアムの2つのプランを選ぶことができる。月額10ドル(約1087円)の「アントレプレナー」(起業家)プランは、独自ドメインのサポートや、Beaconsページを構成するリンク、テキスト、画像のスロットである「ブロック」の追加オプションなど、検討に値する機能を提供している。

画像クレジット:Beacons

Beaconsは、プレミアム収入以外にも、マネタイズに特化したいくつかのブロックで売上の一部を受け取ることで収益を上げる。たとえばショッピングに対応したTikTokフィード、動画や電子書籍のデジタルストア、クリエイターが自分のフォロワーにカスタムコンテンツを直接販売できる「リクエスト」ブロックなどだ。Beaconsの無料プランでは取引に9%の手数料がかかるが、プレミアムプランでは5%に減額される。

Beaconsで構築されたランディングサイトは、高度なカスタマイズ性を持っていて、メディアリッチでキュレーションされたホームページがあったMyspace(マイスペース)の時代を彷彿とさせる。同社は最近「コミュニティブロック」と呼ぶブロックを追加した。これは、たとえばTikTokのようなコラボレーションが盛んなプラットフォームで頻繁にチームを組む可能性のあるコラボレーターたちに、スポットライトを当てるための特別な場所だ。現在、Sia(シーア)、Green Day(グリーン・デイ)、Russell Brand(ラッセル・ブランド)などの有名人が登録されている。

Beaconsはまた、メールやSMSによるモバイルマーケティングや、クリエイターがオーディエンスを知るための分析機能にも対応している。同社によると、2020年10月のローンチ以来、ユーザー数は毎月70%ずつ増加しているという。

「現在、コンテンツ制作者と消費者は、既存のソーシャルプラットフォームが提供するもの以上の、高度な期待を抱いています」とジーン氏は調達時の声明で語った。「【略】Beaconを使えば、クリエイターは、見た目が良く、共有可能で、最終的に収益を生むことのできるカスタムドメインにオンライントラフィックを誘導することで、自分の将来をコントロールすることができるのです」。

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カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:Beacons

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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