クレカ手数料の一部を植林に充てる英フィンテックTreeCardが5.4億円調達

木で作られたクレジットカードを提供し、生み出される手数料を通じて森林再生に資金を提供することを約束している、英国のフィンテックTreeCard(ツリーカード)がシードラウンドで510万ドル(約5億4000万円)を調達した。本ラウンドはEQT Venturesがリードし、SeedcampとEpisode 1が参加した。また、TreeCardのサービスはまだ立ち上がっていない、

GoCardless創業者のMatt Robinson(マット・ロビンソン)氏、Indeed創業者のPaul Forester(ポール・フォレスター)氏、ComplyAdvantage創業者のCharlie Delingpole(チャーリー・デリングポール)氏といったエンジェル投資家も出資している。調達した資金は人材採用、米国と「鍵となる欧州マーケット」への進出に使われる、とTreeCardは話した。

「主要なグリーンファイナンスブランド」になることを目的に、TreeCardはThielフェローのJamie Cox(ジェイミー・コックス)氏(Cashewの共同創業者)、Gary Wu(ゲイリー・ウー)氏、James Dugan(ジェームズ・デュガン)氏によって2020年8月に創業された。チームは社会的影響のあるフィンテックの原動力を生み出すために、ロイヤルティポイントやキャッシュバックを植林に交換するアイデアを思いついた。

サインアップすると、ユーザーはTreeCardアプリを現在持っている銀行口座にリンクし、Mastercardを搭載しているTreeCardを通じて支出のルーティングを開始できる。カードでの購入、具体的には支出により発生するカード決済手数料の一部が、環境に優しい検索エンジンでTreeCardのプレシード投資家でもあるEcosiaが運営する植林プロジェクトに送られる。

「高いレベルで気候危機は過去20万年で人類が直面している、人間を絶滅させる可能性のある最大の危機です。消費者のファイナンスの流れを導くことは変化を促す最もパワフルな方法だと信じています」とCEOのコックス氏は筆者に語った。「消費者が支出によってダメージの少ない行動をとるだけでなく、積極的に世界を改善できるようにするファイナンス会社を構築しています」。

「私たちは消費者が責任を持って使える限度額なしのカードを作っています。カードは消費者の支出に応じて植林するために手数料を使い、どうした支出が健全か、あるいは破壊的なものか消費者が特定できるよう、分析を洗練しました」。

英国や欧州における消費者カード手数料は、米国のものに比べてかなり安い。クレジットカードと口座の提供は、経費がかからないわけではない。そのためTreeCardがどのようにして持続可能になるのかは明らかではない。驚くことではないが、おそらく手数料が高い米国は、TreeCardにとってサービス立ち上げ時の主要なマーケットになると見られている。

「米国の手数料は欧州のものよりかなり高く、これは当社にとって植林投資を行い、マーケティング費用と管理費用をカバーするのに十分な売上高の機会となります」とコックス氏は説明した。「欧州では当社のバンキングインフラを無料で提供する既存のリテールバンクと提携するつもりです。これは、当社の手数料取り分が少なくても、欧州における費用を賄うのに十分なものになることを意味します。銀行名は間もなく発表します」。

一方、初期投資家のEcosiaについて同氏は「親」会社だと表現した。「Ecosiaは当社の最も近しいパートナーであり、成長にともなってEcosiaとかなり緊密に協業するでしょう」と話した。「Ecosiaが最初に小切手を切ってくれ、我々のために当社の植林を引き受けます。Ecosiaのマーケティングチームはかなり経験を積んでおり、今後数年間ユーザーを獲得するために彼らの検索エンジンをコアなチャンネルとして使うのをサポートしてくれます」。

EQT VenturesのディールパートナーであるTom Mendoza(トム・メンドーサ)氏のコメントは以下のとおりだ。「TreeCardは影響力のある財務管理のための実際のプラットフォームを構築するという他のブランドはやっていない分野に足を踏み入れ、主要なグリーンファイナンスブランドになる可能性を秘めています。EQT Venturesは環境と我々の投資が世界におよぼす影響をますます意識しています。地球にとってより良い未来をつくるために金融システムに積極的に取り組んでいるTreeCardのチームをサポートすることに非常に興奮しています」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:TreeCard資金調達気候変動

画像クレジット:TreeCard

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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