クレジットカード連携特典サービスを実現するカンム、クレディセゾンと提携

カンムは以前はMarketgeekという株価情報のサイトを運営していたが、ピボットして新たなサービスを提供し始める。CLO(card linked offer、カード連携特典)と呼ばれるサービスがそれだが、クレジットカードの利用履歴に基づいてユーザーに店舗と連動する特典を提供するというものだ。その第一弾はクレディセゾンとの提携によって今日から実現されるようになる。CLOはすでにCardlyticsCarteraなどによって米国でサービスが提供されている。TechCrunch JapanでもCardlyticsについては以前に寄稿によって紹介している。

今回スタートするCLOセゾンは、クレディセゾンのクレジットカード会員に対して、彼らの年齢や性別、クレジットカードの利用履歴などを解析することによって会員それぞれに適した店舗の特典情報を会員サイトで提供するものだ。会員向けサイトには、会員はたとえば毎月のクレジットカードの利用明細を確認するときなどにログインするが、その際に特典とクレジットカードを結びつけるように設定してもらう。スタート時には通販のQVCやディノス、TOHOシネマズ、パルコ、ローソンが特典を提供するが、こういった店舗(通販でもリアルな店舗でも)でクレジットカード会員がクレジットカードで支払いをすると、提供される特典が適用されるようになる。特典はたとえば、クレジットカードで貯まるポイントが通常の利用よりもたくさんもらえるといったものだという。


カンムのビジネスは、店舗に送客するごとに受け取る店舗側からの送客料で、これをクレジットカード会社と折半する。クレジットカード会社から見ると、会員のクレジットカード利用を促進しつつ、店舗からの送客料という新たな収益も受け取れる旨みのあるサービスとなっている。もちろん特典を発行する会社にとっても、クレジットカード会員の情報から得られる、年齢や性別、エリア、年収、来店利用暦などによって緻密なマーケティングができるとカンム代表取締役の八巻渉氏は語っている。O2Oの新たなツールとしても利用されることを彼らは期待している。

こういった話からCLOはインターネットのマーケティングツールのような仕組みのようにも思えるが、カンムではすべての情報はクレジットカード会社のシステム内に閉じられていて外部に持ち出せないようになっているという。またクレジットカードの会員の情報となるクレジットカード番号や個人を特定する名前などについても当然ながら取得していないという。

これまで、こういったシステムはこれまでクレジットカード会社がSIベンダーに多額の開発費を支払って実現するケースが一般的だったが、新たなビジネスモデルによってスタートアップ企業が参入し、導入側は低コストで開始できているのが興味深いと言えるだろう。

カンムは今回のサービスのアナウンスと同時にEast VenturesとANRIおよび個人の三者に対して第三者割り当て増資を実施し、およそ4,300万円の資金を調達したことを発表している。それ以前にはEast Venturesクロノスファンドから500万円の資金を集めている。