クロスボーダーの大型買収を実現した「pairs」運営エウレカ、これまでと次の一手をTechCrunch Tokyoで聞く

エウレカ共同創業者 代表取締役CEOの赤坂優氏

エウレカ共同創業者 代表取締役CEOの赤坂優氏

2015年もっとも話題になったスタートアップの買収劇と言えば、米IACグループによるエウレカのクロスボーダー買収ではないだろうか。

IACはこれまでMatchTinderをはじめ世界の各エリアでマッチングサービスを展開してきたほか、動画配信のVimeoやQ&AサービスのAskなど、日本のネットユーザーも利用している(もしくは見たことくらいはある)ようなサービスを保有している。

そんなIACだが、まだマッチングサービスで進出できていなかったのがアジア領域。そこにピッタリとハマったのがエウレカの「pairs」だったというわけだ。pairsはFacebook認証を利用したマッチングサービス。10月には会員数300万人を突破した。またカップル向けのコミュニケーションアプリ「Couples」も好調で、現在は300万ダウンロードを突破したのだとか。

NASDAQ上場企業がアプリやウェブサービスを手がける国内のスタートアップを買収するケースはあまりなかったし、その買収額も関係者の話では100億円以上とのウワサ。好調な話ばかり聞くエウレカだが、ここまでの道のりは決して楽なものではなかった。

鳴かず飛ばずのクラウドソーシングサービス

エウレカの創業は2009年。エウレカ共同創業者 代表取締役CEOの赤坂優氏と共同創業者 取締役副社長COO西川順氏は、ともにイマージュ・ネットの出身。当初は受託事業を手がけつつ、エウレカ創業前から赤坂氏が開発していたクラウドソーシングサービスの「MILLION DESIGNS」を提供していたが、後者については鳴かず飛ばずの状態。結局2012年にはランサーズにサービスを売却(売却と言えば聞こえがいいかもしれないが、金額面など決してハッピーなものではなかったようだ)するに至る。

次に手がけたのはスマホアプリの「Pickie」。僕はこのタイミングで初めて赤坂氏からプロダクトの話を聞くことになった。Pickieはユーザーが自分がスマートフォンにインストールしているアプリの情報をFacebook上の友人と共有できるというもので、友人を経由して新しいアプリと出会うというプロダクトだった。将来的にはインストールしているアプリの傾向から最適な広告を表示することも計画していた。KDDIが主催するインキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」の第2期メンバーとして採択されたが、こちらも事業としてはうまくいかなかった。

そしての次、マッチングサービスに勝機を見出してリリースしたのがpairsだ。その成長ぶりは冒頭に書いた通り。現在は月商も数億円規模に成長しているという。Couplesもカップル向けの機能にとどまらずメディア機能なども強化。カップル向けの広告展開なども進めていると聞く。

IACによる買収を選択したワケ

pairsは今後アジア領域への進出も考えているそうだが、僕は以前、赤坂氏に「買収ではなく、自ら海外進出することを考えなかったのか」と聞いたことがある。その際、赤坂氏は「別にエウレカとしてアジアから海外に出るということを考えなかった訳ではない」と語っていた。実はすでに台湾でもサービスを展開しているpairs。台湾の成長を見てアジア、そして北米への展開も考えていない訳ではないそうだ。

しかし同社はこれまでほぼ自己資金で事業を展開してきた。そのため外部からの資金調達をせず、スピードを持って海外戦略を進めるには課題もあった。最終的に自ら北米に行って勝負をするのではなく、IACが進出できていないアジアの覇権を握ることにこそ強みがあると考えて買収という選択肢を選んだということだろう。

11月17〜18日に東京・渋谷ヒカリエで開催する「TechCrunch Tokyo 2015」には、そんな成長を続けるエウレカ代表の赤坂氏も登壇する予定だ。赤坂氏にはエウレカの成長ストーリーや買収後の戦略、代表としての決断、さらにはマッチングサービスのこれからなど、いろいろな話を聞いてみたいと思っている。興味がある人は是非ともイベントに遊びに来て欲しい。

TechCrunch Tokyo 2015チケットはこちらから→

TechCrunch Tokyo 2015学割チケットはこちらから→

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。