“ググって調べる”ではなく“LINEで気軽に相談” ーージラフが通信やインフラ領域にLINE相談サービス拡大へ

格安スマホに興味はあるけれど、わざわざ店舗に行ったりいちいち比較サイトなどで調べたりするのは面倒——そんなユーザーがLINEのチャットを通じて、気軽にスマホの乗り換え相談をできるサービス「携帯かえるくん」。

6月15日にジラフが「ズボラ旅 by こころから」にならって開発した同サービスは、10時のリリース直後からユーザー登録が増え、すぐに数百人に到達。対応キャパシティの限界もあり当日16時時点で新規の受付を一時停止していた。

そしてジラフは6月22日、携帯かえるくんの新規受付を再開することを発表。合わせて複数のLINE相談サービスを水平展開する「かえる群構想」を明らかにした。

ジラフ代表取締役社長の麻生輝明氏によると、携帯かえるくんには当初の想定を超えて約800名からの相談申し込みがあったという。新規の受付を一度停止して以降は、相談があったユーザーの対応を進めつつ、急ピッチで体制を整備してきた。

相談内容については「かなりおおざっぱなものが多く、ユーザーは単純に安いものを求めつつも、実際にはほかにも要望がある」そうで、ユーザーごとに提案内容もバラつきがあるとのこと。相談を聞いてみると「今の携帯料金を自覚してる人は少ない」ともいう(そういえば僕自身も毎月いくら携帯料金を払っているのか、大ざっぱにしか把握していない)。

数百人のユーザーとやりとりを重ねる中で、LINEを活用した相談サービスに可能性を感じたということなのだろう。ジラフでは今後このモデルを格安スマホだけでなく、プロバイダーやポケットWiFiといった通信回線の乗り換え、電気やガスの乗り換えといった他の領域にも広げていく方針を発表している。

「可能性を感じているのは潜在ニーズの大きさ。(格安スマホの買い替えだけでなく)おそらくほかの領域もそうだろうなと。特にいわゆるモバイルでの比較領域はリプレイスする余地があるとずっといわれていて、(LINEを用いた相談サービスが)それに相当するものになるのではないかと考えている」(麻生氏)

確かにこの話については思い当たるふしがある。近年さまざまな分野で比較サイトやレビューサイト、体験ブログ、まとめサイトのようなものが登場し、ひとまずググればたくさんの情報がでてくる時代になった。

ただ、PCであればまだしも、スマホから同じような流れで気になるトピックを検索し、ひとつひとつ比較サイトなどで情報を見比べて意思決定をするというのは、「正直面倒」だと感じる人も多いのではないだろうか。

もはや検索するのですら面倒くさいと思う人や、検索して調べるほどではないという潜在顧客に対して、気軽に、かつズボラに相談できるチャネルを作るというのは一定のニーズがありそうだ。冒頭で紹介したズボラ旅だけでなく、少し仕組みは違うもののLINEも自社で恋愛やダイエットの相談ができるチャットサービス「トークCARE」を提供していたりもする。

最近では格安スマホの登場、通信や電気などの市場自由化・サービスの多様化、シェアリングエコノミーサービスの普及などによって、安くスマートに消費する選択肢が格段に増えた。これらの選択肢を認知してはいるものの、消費スタイルの転換にまだ不慣れな潜在層をジラフでは「スマート消費潜在層」と定義。LINEの相談サービスを複数展開することで、意思決定のサポートをしていく狙いだ。

まずは体制を整えながら、7月前半にプロバイダーやポケットWi-Fiなど通信サービスの乗り換えに関するサービスを、同月後半には電力・ガスの乗り換えに関するサービスをリリースする予定。麻生氏いわく「カカクコムの比較を代行してくれるようなイメージ」だという。

もちろん人員体制の構築やコスト構造を含め、このモデルにもまだまだ未知数な部分はある。麻生氏も「契約の最後のクロージングまでとなると現状は検証しきれてない」と今後の課題をあげる(各サービスのマネタイズについては制約時の送客手数料を想定していて、現時点でユーザー課金等はまだ考えていないそうだ)。

ただこのスマホ時代において、そして日本国内ではLINEがインフラとなっている時代において「自分であれこれ検索するよりも、ひとまずLINEで相談してみる」というスタイルが、多方面に広がっていく可能性は十分にありそうだ。

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TechCrunch Japan

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