グローバルな政府入札プラットフォームで発見・申請・管理を支援するCube RMが約9.1億円調達

世界各国の政府が毎年発表する入札や公共セクターの契約は数百万件にのぼる。その金額は約5兆ドル(約570兆4600億円)と推定され、2025年には、PaaS(Procurement as a Service、サービスとしての調達)の市場規模は90億ドル(約1兆264億円)に達すると予想されている。そしてもちろん、パンデミックは政府調達のデジタル化の必要性を急速に高めている。

しかし、政府調達のポータルをナビゲートすることは、容易な作業ではない。現在、これらの入札をすべて閲覧できるグローバルなプラットフォームは存在せず、申請プロセスを支援するのはレガシーツールだけだ。だが数年前、欧州と北米のほとんどの国がオンライン入札ポータルを作成し、大規模なスクレイピングが可能になった。そして、あるスタートアップがそれをやってのけた。

Cube RMは、入札の申請と管理を1つのプラットフォームに統合している。同社は、企業が世界中の入札を発見し、入札し、落札するのを助けると主張している。このたびCube RMは、Runa Capitalが主導し、既存の投資家であるMarathon Venture Capitalの参加を得て、800万ドル(約9億1000万円)のシリーズAラウンドを完了した。

同スタートアップは製薬・医療機器のグローバル企業を主なターゲットとしており、今後、他の業種への展開も予定している。これまでのところ、Boston Scientific(ボストン・サイエンティフィック)、Takeda(武田薬品工業)、Kemira(ケミラ)、Bavarian Nordic(バヴァリアン・ノルディック)などが顧客として名を連ねている。

同社はグローバルに入札案件の発掘を支援するだけでなく、自然言語処理による入札の優先順位付け、公開される入札の予測、Salesforce.comでの入札機会の提供、入札準備と提出の促進、落札者と競合情報の追跡なども行うとしている。

共同設立者のCostas Economopoulos(コスタス・エコノポウロス)氏はこれまでB2Bソフトウェア企業を数社設立し、データサイエンティストのGeorge Boretos(ジョージ・ボレトス)氏はビジネスソフトウェア業界で、Philip Kytinos(フィリップ・カイティノス)氏は経験豊富なソフトウェアエンジニアとして活躍してきた。

エコノポウロス氏は次のようにコメントしている。

グローバルなライフサイエンスのお客様と仕事をする中で、売上の25~60%が公的機関向けの入札によるもので、数兆ドル(数百兆円)規模の市場を考えると、非常に重要であることがわかりました。以前は、世界規模で日々公開される新しい入札を発見し、それらの企業が最新のAI技術を駆使して見積書作成のプロセスを管理し、落札するための最適な価格を見出すためのソフトウェアシステムは存在しませんでした。

入札のニーズは、これまでModelN、Apttus/Conga、SAPなどの大規模な収益管理ソリューションのいずれかでカバーされていた。

Runa CapitalのパートナーであるKonstantin Vinogradov(コンスタンチン・ビノグラードフ)氏は、次のように述べている。

当社は2011年から規制産業向けのソフトウェアソリューションに投資していますが、今こそライフサイエンス産業における入札の自動化に最適な時期だと考えています。一方では、パンデミックによって予算が増え、この業界全体の重要性が高まったこと、他方では、大企業におけるデジタル化の欠如と非効率的な官僚的プロセスの多さが浮き彫りになったことが挙げられます。我々は、これを大きなチャンスと捉えています。

画像クレジット:designer491 / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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