グーグルがGmailに自動化サービス「AppSheet」導入、JiraがChatとSpacesをサポート

Google(グーグル)は米国時間10月12日、同社の自動化サービス「AppSheet」の新機能を発表した。Googleのノーコードプラットフォームを利用する開発者は、Gmailと直接やり取りするカスタムアプリケーションや自動化機能を作成できるようになる。開発者は、動的メールを利用して、ユーザーがGmailの受信トレイの中で起動・実行できるアプリケーションを開発することができるようになる。2019年にGoogleが動的メールを発表して以来、それが可能なことはわかっていたが、多くの開発者がこの機能を実際に利用しているとは言えない状況だ。

AppSheetの開発者は、例えば、ユーザーがメール上ですぐに更新できる承認ワークフローや資産管理システムを開発できるようになる。

AppSheetの創業者で、同社をGoogleに売却したCEOのPraveen Seshadri(プラビーン・セシャドリ)氏は、AppSheetのミッション全体の中で今回のステップは小さいながらも重要だと述べた。同社のミッションは、多くのユーザーが自分のアイデアを実用的なソフトウェアに変換したり、開発者(同氏は「クリエイター」と呼ぶ)がユーザーにリーチしたりすることを可能にすることだ。

「今、私たちが取り組んでいるのは、言ってみれば『どうすればクリエイターと呼ばれる人々、つまり、物事をより良く動かす方法や自動化する方法などのアイデアを持つ人々に、それらを開発してもらうか』ということです。従来はアプリを作っていましたが、最近では『アプリをいかにエンドユーザーの体験に深く統合するか』ということを目指しています。これは、開発者がワークスペースプラットフォームを使って行ってきたことであり、今はそれを非開発者にまで広げようとしているのです」とセシャドリ氏は語る。

画像クレジット:Google

一般的に、ビジネス上の問題に最も近いのはビジネスユーザーであり、セシャドリ氏が指摘するように、彼らは通常、自動化ソリューションに何を求めているかを知っている。同氏は、ビジネスユーザーは自分でコードを書けないかもしれないが、AppSheetが宣言的アプローチに重きを置いているため、ユーザーは「その成果を達成するための非常に退屈なステップ」ではなく、成果に集中できると主張する。しかし同氏は、ほとんどのビジネスで、ノーコードのユーザーと従来のエンジニアが一緒に働いているとも指摘する。ノーコードアプリケーションの基盤となるデータベースを誰かが構築し、維持しなければならないからだ。

チームが現在注目しているのは、AppSheetプラットフォームの機能拡張に加え、それがエンドユーザーにどのように利用されるかということだ。

「従来は、アプリケーションを開発する場合、アプリケーションにアクセスして、そこで何かをしなければなりませんでした」とセシャドリ氏はいう。「私が経費精算レポートを作成しなければならないとします。そのために、経費精算レポートのアプリケーションを開きます。それは、ウェブページか何かでしょう。そして、それを実行します。さて、次に採用活動に関して何かをしなければならないとします。それを扱うアプリケーションにアクセスするでしょう。ありがちなのは、あらゆる場面で、ユーザーの文脈を変えてしまうということです。私たちが今取り組んでいるのは、クリエイターが作ったAppSheetアプリケーションをGmailに取り込むことです。そうすれば、ユーザーはその時の文脈から離れずに済みます。仕事の方からユーザーにやって来たり、アプリケーションの方がユーザーにやって来たりするわけです」。

セシャドリ氏は、Google Workspaceの中ではGmailが明確な出発点だというが、全体的な目標は、ユーザーの側に寄っていき、可能な限りユーザーが現在の仕事の文脈から離れないようにすることだ。

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上記と関連して、次のことも注目に値する。Googleは、Atlassian(アトラシアン)と新たに統合し、その結果、JiraがGoogle ChatとSpaces(旧称「Rooms」)に組み込まれる。ユーザーはChatやSpaceからJiraの新しいチケットを作成したり、チケットのプレビューを見たり、アクティブな課題を追跡したりすることができる。Slack(スラック)やMicrosoft Teams(マイクロソフトチームズ)のユーザーはすでに利用している機能であり、Googleは単にツールボックスの足りない部分をを埋めたにすぎない。

「現代の仕事では、人々はこれまで以上に文脈やツールをすばやく切り替える必要があります」とAtlassianのチーフプロダクトオフィサーであるJoff Redfern(ジョフ・レドファン)氏は話す。「私たちは、ユーザーが日々頼りにしているツール間のオープンなエコシステムと緊密な統合が、彼らの成功に不可欠であると考えています。2017年以降、Gmailと統合した当社のTrelloは700万人以上にインストールされました。本日、AtlassianとGoogleの連携に基づき、JiraとGoogle ChatおよびSpacesが統合され、職場での協業をさらに推進できることをうれしく思います」。

画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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