グーグルがGoogle Playの課金をめぐり大規模な反トラスト訴訟に直面

37人の司法長官からなるグループが米国時間7月7日、複数州にまたがる2件目の大規模な反トラスト訴訟をGoogle(グーグル)に対して起こした。

ニューヨーク州のLetitia James(レティシア・ジェームズ)司法長官は、テネシー州、ノースカロライナ州、ユタ州の司法長官と共同でこの訴訟を主導している。超党派の連合体は、カリフォルニア、フロリダ、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューハンプシャー、コロラド、ワシントン、およびコロンビア特別区を含む、米国の36の州を代表している。

「Googleは、その違法行為により何億ものAndroid(アンドロイド)ユーザーが携帯電話やタブレットにダウンロードする何百万ものアプリケーションを確実にGoogleだけに頼るよう動きました」と、ジェームズ氏はプレスリリースで述べた。「さらに悪いことに、Googleは、ただ競争を求めているだけの何百万もの中小企業の活力を奪っています」。

2020年12月には、35の州がGoogleが検索ビジネスの独占を維持するために違法行為を行っているとして、Googleに対して別の反トラスト訴訟を起こした。司法省は同年10月、検索に焦点を当てた独自の独禁法訴訟を起こした。

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超党派の州連合は、この新しい訴訟の中で、Googleが「誤解を招くような」セキュリティ警告を用いて、消費者や開発者を壁に囲まれた同社のアプリガーデンであるGoogle Play Store(グーグルプレイストア)内に留めるようにしていると主張している(下の埋め込み資料参照)。しかし、GoogleがAndroidアプリの開発者から徴収している手数料が、この訴訟の本質であると思われる。

「Googleは、潜在的なライバルがGoogle Play Storeに対抗するのを妨害する違法行為を行っただけでなく、アプリ開発者や消費者をGoogleの決済システムに不当に閉じ込め、高額な手数料を請求することで利益を得ています」と、コロンビア特別区司法長官のKarl Racine(カール・ラシーン)氏は話した。

Googleは、Apple(アップル)同様、すべてのアプリの決済処理を自社のサービスであるGoogle Play Billingに集約し、すべての決済から30%を徴収することで利益を得ている。ここで批判されていることは、アプリのエコシステムをさらに厳しく管理しているAppleにもあてはまり、今後もそうあり続けると思われる。Googleは、iMessageに相当する専用アプリを持っていないため、同じようにユーザーを囲い込むことはできない。

この訴訟ではアプリ市場におけるGoogleの「独占力」が議論されているが、部屋の中の象のような存在はAppleだ。Appleは、モバイルソフトウェア分野におけるGoogleの強力な直接の競合相手である。訴訟では、消費者がAndroidのエコシステムに留まるよう圧力を受けていると主張しているが、少なくともAndroidに関しては、その多くが最終的には慣れとサンクコスト(すでに発生し回収不能な費用のこと)に起因している。Appleに対する主張の方がはるかに強いと思われる。

テック企業がアプリ開発者から高額なモバイル決済手数料を搾取しているという声は、ますます大きくなっている。今回の複数州にまたがる訴訟は最新のものだが、この話題は、Epic GamesがAppleの手数料を回避したいがためにApp Store以外でモバイル決済を行うことを求めてAppleと裁判を起こして以来、白熱している。Epicが回避策を確立したとき、AppleはEpicをApp Storeから追い出し、Epic Games対Appleの構図が生まれた

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司法省は、Appleのアプリストアでの商慣習にすでに関心を持っていると言われている。いつでも同社に対して別の訴訟を起こすことができる多くの州の司法長官も同様だ。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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